第86話 ごめんなさい。

「明日の出勤気を付けて下さい。何かあれば

 僕と常務が本部にいますから」

「ありがとうございます。お疲れ様でした」

 台風上陸の前日、本部から電話があった。

 スーパーは営業するから、テナント店が

 勝手に休みにする事が出来なかった。

 僕って誰だろう?名前を名乗られたけど、

 すぐに思い出せないデバネズミ。

 まっ、いいか。どうせ夕方からはひどくなり

 出勤しなくてもよくなりそうだから。

 のんきなデバネズミ。カクヨムしよっと。


「あっ、全部読み終えてくれたんだ。感謝。

 ずっと応援ハート、あっ、今日はお星様まで」

 通知を見て感謝のコメントするために

 その方の小説に伺うデバネズミ。


 確かペンネームはこれ。検索にネームを

 打ち込み、ひとつ小説を選んでポチッとする。

 楽しい。面白い。え~何で?最後ホラーだ!

 一気読みして、感想を書き、感謝の言葉を

 心を込めてコメント欄に書き込む。


「初めまして。――感想――。私の詩にハート

 とお星様ありがとうございました」

 夜中にお返事が届く。

「初めまして。本当に初めましてなので……」


「……?……?ごめんなさい!ごめんなさい!」

 夜中に叫ぶデバネズミ。間違えた。全く関係の

 ない方にお礼をしてしまった。何で?何で?


「これも何かのご縁でしょう!」コメントの続き

 に頭を下げまくるデバネズミ。

 その方にとって、デバネズミのコメントが

 ホラーだったに違いない。夜中の怪に放心。


 台風上陸当日。朝通知を見ると、私の詩を全て

 読んで下さり、ハートとお星様がズラリ。

 何かのご縁だと直ぐに読んで下さったのだ。

 なんて懐が大きくて、優しい方。うっ、涙が。


「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい」

 繰り返すデバネズミ。すぐに感謝の返信。


「今日はもう閉店します。出勤しなくていいです

 からね。私は本部に社長がいるので連絡して

 帰ります」朝、店から留守電が入っていた。

 社長?あっ、僕って社長でしたか!

 腰が低くて、真面目で、誕生日には社員全員に

 花をプレゼントして下さる優しい社長でした。

「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい」

 

 私の物忘れ、思い込みを温かくフォローして

 下さる皆様に、前もって感謝を申し上げます。


 カクヨム始めたら、もっと幸年期になり、

 頭を下げるデバネズミ。

 

 


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