第88話 勝れる宝

「もぉ、10ヶ月分の家賃払ってよね。10日分は

 おまけしてあげるから」不機嫌デバネズミ。

「お母さん、怒るといつもそれ言うけど、

 誰も払ってないから、そんなの!」

 苦笑いの娘。他の話題に変えてしまう。


 両親の銀婚式のお祝いに頭を悩ませる

 デバネズミ。手作りの物をあげたいな。

 趣味の刺繍で感謝の気持ちを伝えよう!

 布を用意し、絵を書いてみる。平安絵巻。

 十二単の女性とびわを弾く男性。

 父と母を貴族にしてしまうデバネズミ。

 制作期間1か月目標。文字も入れたいな。

しろかねくがねも玉も何せむに 勝れる宝 子にしかめやも』

 父親の名前が入っているのでこれに決定。

 そして「子」を母親の名前に変えて刺繍する。

 父は現在、母を大切にしている。ピッタリ。


「一番大切なのはお母さんだよね、お父さん」

 二人とも照れながら、受け取ってくれた。

 

 娘に家賃を請求してる場合じゃない。

 お金よりも大切なのは、子供ですよね。

 山上憶良さんごめんなさい。反省デバネズミ。


「妊娠中、快適な場所で確かに栄養貰ったけど

 家賃催促する母親って聞いたことないよね?」


 娘が夫に告げ口してる。口あんぐりの夫に

「十月十日のうち、10日分おまけしたよ」

 反省してないデバネズミ。

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る