第66話 また来るね
「なんでこんな所で寝てるの?」
友達に会ったら第一声の言葉はこれ
と車の中で決めていた。
4月の終わりに入院した友逹。
会うのは2ヶ月ぶりだ。
ホスピス 白いベッド 点滴 お腹の膨らみ
かけるはずの言葉が出ない。
彼女の手をさすって……握った。
泣かないつもりが、号泣するデバネズミ。
「来てくれてありがとう。泣いてくれて
……ありがとう。ありがとう。」
繰り返す彼女の言葉に頷くデバネズミ。
面会10分の時間の中では、思い出も
感謝の言葉も伝えきれなかった。
「また、来るね」彼女の目をみつめる私。
ゆっくりと頷く表情から気持ちをくみ取る。
「たぶん、もう会えないよ。今日でさよなら」
彼女の心の声が聞こえた。
最期はご家族だけで過ごした方がいいのかな。
やっぱり、約束通りもう一度行こうかな。
もう私に弱い姿見せるの嫌かな。
悩んで、迷ってる間に亡くなった。
嘘つきになっちゃった。
3カ月持たなかった。早すぎるよ。
後悔と許してねの涙でぐちゃぐにゃ。
「また来るね」当分誰にも言えないデバネズミ。
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