第16話 インフルエンザ

「病院に行きなさい」

「絶対に行かない。熱が下がれば治る」

夫が命令する。私は拒否する。

感染経路は娘。夫は予防接種済みだ。

白血球にウイルスと闘うように命令した。

と強情なデバネズミ。


治りかけの娘がかかりつけに電話した。

「今から母を行かせます。お願いします」

よりによって、貧血治療バックレた病院。


怒られる。予約したから、逃げられない。


「娘から移りました。確実インフルなので

ゾフルーザ下さい」

少しキレ気味に先生に言う。

それさえあれば治るんでしょ。今年の新薬。

「検査しなくてもいいと思います」

鼻にあの綿棒入れられたくない一心で懇願。

「一応ね」

突っ込まれた。この痛みが嫌だ。

牙むくデバネズミ。何でするねん。


ゾフルーザとやらはよく効いた。

熱が一気に下がる。

注射の痛みと綿棒突っ込みの痛み。

どちらかの選択だ。子供産んでるのに、

苦手な痛み。


お見舞が届く。

インフルなのに友達は優しい。

そしてみんな苺だ。

好物を知っていてくれる。

感謝感謝感謝。

冷蔵庫に苺のパックが6。

夫、娘、私と二パックずつ頂く。


贅沢な時間。幸年期のインフルは

痛みに弱かった。

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