第11話 キラキラネーム

「じゃ、仕事に行ってきます。おやすみ」

「 行ってらっしゃい。頑張って」

 夜勤のため夕方から夜中まで一寝入りする

 主人に手をふり、私は仕事に行く。

 歩いて数分のクリーニング店の受付。

 3時間だけのパート。今年で十二年目になる。

 サービス業はとにかく楽しい。


 老若男女、色々なお客様が来店する。

 そして、コンビニと違い、一人一人の接客

 時間が長い。

 みんな何故かおしゃべりだ。

 お天気の話から始まり、質問してなくても、

 一気に話し出す。話題も色々である。


 人の話を聞くのは好きだから苦痛ではない。

 嫁姑問題。子供の受験の心配。夫の愚痴。

 会社のパワハラ。離婚問題。近隣トラブル。

 年金問題。出張の行き先。ご家族の死など。


 そうですか。さすが。心中お察しします。

 頑張って下さい。よくされていますね。

 大丈夫ですか? お気をつけて。

 ありとあらゆる返事をする私。


 お客様の名前はもちろんだが、

 子供さんの名前も脳にインプットする。

 名前が覚えにくい。

 今流行りのキラキラネームだ。

 漢字を聞いても当て字ばかり。

 年々増えていく。キラキラネーム。


 秋田名産品 いぶりがっこ。

 この名前のように一度で言えない。

 いがりぶっこ、いりがぶっこ がぶりいっこ

 正解が分からなくなる。

 

 メモ帳には仕事内容よりキラキラネームの方

 が多く記入されている。

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