　情報が発信されたのは、約一年前。投稿者は匿名。評価は五段階評価のうち、まさかの一。コメントは、一ページでは表示できないほど長文らしく、このコメントを全文読みますかと確認のコメントが表示されるほどだ。

　たった一つの貴重な情報源。留花は、全文読むことにした。

『神社の中にあるお店です。たぶん、倉庫だったところをそのまま再利用している感じ。でも、リノベーションしてるとか、そういった洒落た感じのお店ではありません。本当に倉庫の一部の荷物を脇にどけて、これまたあまりものか何かかと思われるテーブルとイスを並べただけです。肝心の料理ですが、メニューは、シェフのおまかせのみです。仕方がないのでそれを頼んだのですが、なんと出てきた料理は……、料理ではありませんでした。出てきたものは、鞄に突っ込んで帰りましたけど……。お店の人の対応も、非常によくないです。料理がそんなのしか出せないのに、上から目線の店員さんと、全く喋らない店員さんだけ。たぶん倉庫のスペースが勿体ないからと始めた退屈しのぎの店だと思うので、おすすめしません。これなら車に乗って十数分で行ける駅前で飲食店探す方がいいですよ』

　散々な言われようである。しかも、出された料理は、料理ではなかったとある。

　確かにお腹はすいていた。しかし、こんな得体のしれない店に入るのも気が引ける。かといって家に帰っても、待っているのはカップ麺だけ。そして駅前の外食店に一人で入る勇気もない。

　そうなってくると今度は、散々な口コミが書かれた店にちょっと興味がわいてきた。少なくとも家にある、残念な昼食よりは、ずっと。

　留花は、そろそろと看板が置かれた店先に近づく。ほんのり光る店内の光が、外の暗くなり始めた色と混ざり合っていて、そこだけふわりとした温かみに満ちた色になっている。

　留花は大きく深呼吸すると、店の横開きの引き戸を大きく開いた。