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「先週の委員会っていつだったんですか」
「委員会は毎週水曜日ね」
生徒会長選挙のあった日だ。つまり、二次企画書の提出締め切りの頃は、そわそわしながら開票結果を待っていたということになる。提出できるわけがない。
私はそう反論したが、渡邊ララは「会長が替わったからって何」と強気だ。「生徒会という組織として参加してもらうんだから、トップが誰だろうと関係ないでしょう?」
「会長が替わって方針が変わったんです」
「会長が替わったからってその一存で何でも許されると思わないで。大統領が替わったからって国同士の約束は破棄できないでしょう?」
教室中が私たちのやり取りに注目していた。
「私は文化祭のステージ企画に参加するのをマニュフェストにして当選したから、これは生徒の総意です。私の一存じゃない」
私が一生懸命訴えると、渡邊ララが「半分に満たない得票が総意ねぇ」と嫌味を呟いた。そして私が「選挙は正統だった」と反論する前に、「マニュフェストはやることの約束に過ぎない」ときっぱり言った。「やろうとしてもできないことはあるの」
渡邊ララの表情には余裕が出てきていた。それでも私は後には引けない。ここで諦めたら、何のために生徒会長になったんだか分からない。外聞も気にせず、今度は懇願に出る。
「企画書の締め切りが選挙の日だったという事情を汲んでもらえませんか? お願いします!」
私は深々と頭を下げた。
この行動が勝気な性格の渡邊ララを満足させたのか、彼女は少しトーンを落とした。
「それを言うなら、せめて翌日に出しに来てくれる?」
「次の日は熱を出して休んでたんです」
頭は下げっぱなしで、私は床に向かって釈明した。渡邊ララが折れるまで決してこの頭を上げるものか。
しかし、渡邊ララは「それはそちらの事情でしょう?」と弄ぶように腕を組んだだけだった。
「お願いします! その次の日には行ったじゃないですか」
「ちょっといいですか」
埒が明かないこの状況に割り込んできたのは、意外な救世主だった。
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