17
「サキ大丈夫?」
授業が終わって一番に駆け寄ってきたのはマカナだった。私は放課後出頭するよう金子に言い渡された後だった。
「何が?」
「すごい怒られてたじゃん」
アカリもやって来て、「咲姫ちゃん堂々としてたからびっくりしちゃった」と、文字通り目を丸くした。
「あれは互いに言いたいこと言ってただけ。幼稚園児のケンカみたいなもんだよ」と言ってみたけど、二人とも信じなかった。そこへコトも追い付いてくる。
「姫傑作だったね~、めっちゃよかった~」
「ありがと」
「放課後も頑張ってね~」と気楽に私の背中を押すコトとは対照的に、アカリは「もしあれだったらボイスレコーダーオンにしといた方がいいよ」と謎のアドバイスをくれた。「裁判になった時に証拠になるから」だそうだ。そんな大袈裟な、と私は笑い飛ばした。
そして所謂「帰りの会」的なHRの後で、私は八木に呼ばれた。
「三時半に会議室Aに来なさい」
「金子の件ですか」
八木が「金子先生」と訂正してから「そうです」と難しい顔をした。
「会議室Aってどこ?」
「職員室の隣です。いいですね」
「分かりましたー」
「綾雲さん、ちょっと待って」
八木は立ち去ろうとする私を呼び止めて、「どうしてそれをつけたまま授業に出ようと思ったの?」と聞いた。
「会議室Aで話します。同じ話を何度もしたくないから」
「……そうですか」
八木は意外とあっさり諦めた。三時半の会に同席するつもりなんだろう。後二〇分。先生たちの作戦会議のための時間かな。それまで暇な私は、一階の自販機を目指すことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます