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「サキ大丈夫?」

 授業が終わって一番に駆け寄ってきたのはマカナだった。私は放課後出頭するよう金子に言い渡された後だった。

「何が?」

「すごい怒られてたじゃん」

 アカリもやって来て、「咲姫ちゃん堂々としてたからびっくりしちゃった」と、文字通り目を丸くした。

「あれは互いに言いたいこと言ってただけ。幼稚園児のケンカみたいなもんだよ」と言ってみたけど、二人とも信じなかった。そこへコトも追い付いてくる。

「姫傑作だったね~、めっちゃよかった~」

「ありがと」

「放課後も頑張ってね~」と気楽に私の背中を押すコトとは対照的に、アカリは「もしあれだったらボイスレコーダーオンにしといた方がいいよ」と謎のアドバイスをくれた。「裁判になった時に証拠になるから」だそうだ。そんな大袈裟な、と私は笑い飛ばした。


 そして所謂「帰りの会」的なHRの後で、私は八木に呼ばれた。

「三時半に会議室Aに来なさい」

「金子の件ですか」

 八木が「金子先生」と訂正してから「そうです」と難しい顔をした。

「会議室Aってどこ?」

「職員室の隣です。いいですね」

「分かりましたー」

「綾雲さん、ちょっと待って」

 八木は立ち去ろうとする私を呼び止めて、「どうしてそれをつけたまま授業に出ようと思ったの?」と聞いた。

「会議室Aで話します。同じ話を何度もしたくないから」

「……そうですか」

 八木は意外とあっさり諦めた。三時半の会に同席するつもりなんだろう。後二〇分。先生たちの作戦会議のための時間かな。それまで暇な私は、一階の自販機を目指すことにした。

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