4 俺たちの聖女
鼻血を垂らして倒れたリオン。
オロオロとうろたえるラルフ。固まるレイナ。泣きそうになるリーディエ。
本当に、このパーティは…
常に携帯している万能薬を収納魔法から取り出す。
ベルトルドという草は、ある草と煮れば腹痛に効く薬、違う草と煎れば便通に効く薬、とほとんどの草との相性がよく、いろいろな薬に変化する万能な草だ。
俺だけではなく、薬学を嗜む者ならほとんどベルトルドを携帯している。
ベルトルドはヨアキムという実と合わせれば体を刺激する薬となり、失神した人間や眠っている人間、麻酔されている人間に使うのはいいが、健常者に使うと媚薬になる。
ヨアキムの実単体では男にしか聞かない媚薬、つまりは精力剤となる。
とりあえずヨアキムの実も取り出して、俺の使い魔であるドラゴン、レイルを起こす。
ドラゴンと言ってもまだ小さい。
ドラゴンにも種類があり、災厄を呼び炎を吐くダークドラゴンと、幸福を運びこのリベラートレ王国の守護動物でも有るのが
戦闘力や魔力はダークドラゴンのおよそ1000倍。ダークドラゴンのボスが3人で挑んでも勝てるか怪しいという。
その分レフレクシオンは少ないのだが。
そのレフレクシオンとダークドラゴンのハーフドラゴンが俺の使い魔、レイル。
パーティ一行から怪我を理由に2年ほど離れたのだが、その時に修行をしていた山にたまたまレフレクシオンとダークドラゴンの夫婦がいた。
どちらのドラゴンも近くに住む魔物達に襲われて衰弱していて、俺が大賢者の知識全てを使い、瀕死状態から助けたところ、夫婦にとても感謝され、お礼として夫婦の子供8人兄弟の末っ子で、当時はまだ生まれて1年のベビーだったレイルをもらったのだ。
もう6歳になったレイルは体こそ大きくなったが甘えん坊でかわいい。見た目は厳つくなったけど。
「レイル、小さな炎を出して、このヨアキムの実とベルトルドを焼いてほしいんだ。液体になるくらいに」
「はーい」
フーッ、と威力強めの炎を吐いたレイルは、褒めて褒めてと擦り寄ってくる。
レイルをよしよしと撫でてから液体状になったそれをリオンの口元まで運び、流し込んだ。
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