ふたりめ
「……………………。」
沈黙。
あー、気まずい。
私は、特に目立ちもしない、可愛い訳でもない、何か取り柄がある訳でもない普通の中学一年生だ。
そんな中、私にはたったひとつ、誰かに自慢できるかもしれないことがあった。
吹奏楽部の、ユーフォニアム(わからない人はググって欲しい)パートなのだ。
うちの学校には、一学年1人ずつユーフォニアムパートの人がいる。
つまり、うちの学校には3人しかユーフォニアムパートの人間がいないのだ。その中の一人、ということは私にとって少し誇れるものだった。
しかしそれと同時に、ものすごくプレッシャーがかかる。
しかも、来月には大事な大会がある。
その大会のために、部員はいつも以上に気合を入れていた。
私は、もともと楽器や音楽をやっていた訳では無いので、楽譜には音階を振らないと読めない。
しかし、うちの学校の吹奏楽部では、秋のイベントが終わったらもう楽譜に音階を振ってはいけないというルールがある。
しかし、私は秋のイベントが終わって2ヶ月以上経った今でも、音階を降らなければ読めなかった(でも何となくは分かっていた)。
それを練習中に先輩に告白して、
冒頭に至る。
「で、でも!大会までには振らないでも読めるようにします!絶対に!」
「…………ハア…絶対だよ?」
「はい!ありがとうございます!」
あーあ。
言っちゃった。
また出来もしないこと約束しちゃった。
なんなんだろ。
なんでできもしないのに入部したんだろ。
あーあ。
苦痛の人間たち 織:オリ @orionza
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。苦痛の人間たちの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます