第2話 素敵な聖夜の贈り物

「本当にサンタさんなんですか?」

「ええ」

「でも、サンタクロースは白ひげの赤服じいさんなんじゃ」

「それは、あなた方人間が作り出した創造です」

「えっ」

「本当の、サンタは多種多様なんです」

女の子は真顔で答える。


「私は、あなたたち人間の言葉で言えば、妖精になります」

「妖精ですか?」

「はい」

女の子は笑顔で答える。


「で、そのサンタさんがどうして、こんなところに?」

「実は私はまだ見習いで、そりから落ちたんです。そして、怪我をしてしまって・・・」

「見習い?」

「はい。そこをあなたに助けてもらったんです。本当にありがとう」

女の子は、改めてお辞儀をした。


「あの・・・サンタさん」

「何ですか?あっそうそう、私はポラといいます。あなたは?」

「俺は、白瀬星也(しろせせいや)です。」

「星也くんですが、イブにぴったりですね」

「字は違いますけどね、ところでポラさん」

「何?星也くん」

いきなりタメ口ですか?


「お仕事いいんですか?」

「あっ、忘れてた」

ポラさんは、空に向かって何かを叫んでいた。

「ルドルフ、おいで」

ポラさんが、そういうと、ソリを引いたトナカイが1頭降りてきた。

ポラさんに、とてもなついている。


「ポラさん、1頭だけですか?確か、9頭のはずでは?」

「うん、サンタの神様が、私には1頭で十分だって」

「そうなんですか・・・」

「でも、かわいいよ」

ポラさんには、最適のパートナーだな・・・


ちなみに、他のトナカイの名前は、

ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、

コメット、キューピッド、ダンダー、ブリクセムの8頭。


通常は、この8頭だが、9頭になる場合があり、その9頭目がルドルフだ。

その9頭目ということは・・・



「じゃあ、仕事に向かうね。星也くん、本当にありがとう」

「うん、お仕事がんばってください」

「そうだ、何かプレゼントしたいんだけど何がいい」

「いいですよ、そんなの」

「それじゃあ、私の気がすまないの?何がいい?」

「この場で、出来るもので」

「その方がありがたいな・・・」

俺は思い切って女の子にお願いしてみることにした。


「ふたつあるけど、いいかな・・・」

「いいよ、大サービス」

「一つは、・・・ほっぺにキスしてほしい・・・です」

「そんなんでいいの?」

「俺にとっては大問題です」

「いいよ。」

ポラさんは、俺の顔に手をやると、頬にキスしてくれた。

これが俺のファーストキスとなるのだが、置いておこう。


「で、もうひとつは何?」

「それは・・」

俺はポラさんの耳元でささやいた。


「OK.わかった。楽しみにしててね」

そういうと、ポラさんはソリに乗り、夜空へと飛び立っていった。


「星也くん、いくよ」

「うん」

ポラさんが呪文を唱えると、街の灯りが消えた。

そして、一面の星空が広がった。

都会では、見る事のない銀世界。


そして、無数の流れ星が流れた。

ふたご座流星群か?

いや違う・・・ただの流れ星ではない。

最初は戸惑っていた町の人たちも、流れ星に願いを唱え始めた。


俺の二つ目の願い。

それは、「たくさんの流れ星を、街の人に見せてほしい」だった。

おそらく、そのための特別な流れ星だろう。


ポラさんはその願いを叶えてくれた。

心から感謝したい。


願わくば、来年もまた、ポラに会えるのを信じて・・・


ポラ

おそらくは、北極星の意味するポラリスの事だろう。

本当にサンタの国はあるのかもしれない。


そう信じよう。

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あの娘はサンタクロース 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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