榎本の場合
中学生活は最初の頃は順風満帆だった。
今でも成績は上位からは下がっていない。
高校へエスカレーター式なのもあって、高校受験に対する焦りもないのか中学2年にもなると急に周りが色気づいてきた。
榎本も例外ではなく、クラスの学級委員を共に務める
榎本は、頭はいいが容姿には恵まれていない。
対して、沙耶香の方はまさに才色兼備、高嶺の花であった。
けれど、委員が同じという立場から、他の男子よりも榎本が彼女と過ごす時間は1番長かった。
見た目がダメでも、榎本には頭脳がある。
現にテスト前には彼女の方から試験勉強を一緒にしようと誘って来る程だった。
榎本は沙耶香から信頼されている。それに彼女は見た目などに惑わされる人ではないと信じていた。
秋。
文化祭の締めくくりである後夜祭で、榎本は沙耶香に告白をした。
結果は惨敗。
理由は勉強と部活に集中したいから。と言われた。
だが、後日偶然街中で知らない男子と手を繋ぐ沙耶香の姿を見てしまった。
相手の男はとても整った顔立ちをしていた。
榎本は嫉妬した。
あの男になりたいと、本気で願った。
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