第7話 最後の審判
山の火口に辿り着いた。
「...気を付けてよ」
ギンギツネはそう言って、先に山を下りた。
しばらくして、家電を捨てると、火口の奥底から不気味な地鳴りが聞こえた。
「来るぞ...」
「...」
漆黒の黒い物体が、勢いよく飛び出したのだ。
「おい、何だ?この地鳴りは?」
ヒグマが顔を顰めながら言った。
「あの山から聞こえましたよ」
耳の良いリカオンが指を差す。
「行ってみましょう」
キンシコウの合図で山の方角へと向かった。
「何か嫌な予感がするのだ...」
「事件の匂いね...」
その高さは2人の身長をゆうに超える。
見上げるようにして、ソイツを眺めた。
怖くはないと思っていたが、
実物を見ると、やはり本能的に怖気づいてしまう。
フェネックも、同じ気持ちだろう。
私は無意識に彼女の左手を握っていた。
私達は元から死にたかったのに。
どうして、こんなにも。
死ぬ事に対して、不安を抱くのだろうか?
セルリアンを自身でコントロールするなんて...、無理な話だった。
出来もしないことを、大口叩いて。
漆黒の身体から生々しく伸びる顔のついた腕に、私達は...。
暗闇の中で目覚める。知らぬ間に抱き着いていた。
「タイリクと会えてよかった」
フェネックはそう言ったが。
「いいや...。君と私は...、会うべきじゃなかったんだ。
本当に心から通じ合える、本当の親友と...」
「え...」
「君には、申し訳ない事をしたね...。
望んでもいないのに、悪役にしてしまった。
正義のヒーローが来たみたいだ...」
タイリクが向いた先を見た。
黒い靄の向こうに、いる。
「あんなデカイのが暴れまわったら、パークが大変なのだ」
「ハンターよりも先に私たちがやっつけちゃいましょう!」
威勢の良い、光の様な存在がいた。
自分たちは暗闇に閉ざされ、何も届かない。
「でも...、フェネック。生まれ変わったら、親友になろうね」
「...うん」
そう誓いを立てた。
約束は守れるだろうか...。いや、守れないだろう。
約束なんて、破るためにあるものだろう?
決まり切ったオチなんて、この世にない。
嘘と悪意で塗れたこの世界で、私達は、私達なりの、愛情を示した。
悪戯狐と嘘つき狼 みずかん @Yanato383
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