第6話 雪山の協力者
2人は雪山を登っていた。
「何でこんなクソ寒い所に登るのさ...」
「単に私達だけじゃ、あの作戦は成功できない...。仲間を増やすんだ」
「仲間?誰を?」
「ギンギツネ。彼女はあの山の事も多少詳しい。
ガイドや機械の知識もある」
「よく知ってるね」
「まあ、知り合いだから」
「知り合い...?」
言葉の意味がわからなかった。
詳細を知りたい訳でもなかったので、
そのまま雪山を進んだ。
途中、幸運にも吹雪に遭遇することなく、
宿まで着いた。
「久しぶり」
「タイリク...、また会えるなんて...」
「・・・」
2人の反応にフェネックは戸惑った。
「彼女はフェネックだ、よろしく」
「ど、どうも...」
「何しに来たの?」
「ちょっと頼みたいことがある」
「...来て」
部屋の奥へと導かれる。
「タイリク、あのギンギツネとどういう関係なの?」
どうしても気になり、我慢できず尋ねた。
「雪山で死のうとした時に、彼女は私を引き止めた」
淡々とその理由を述べた。
「へえ...」
和室の部屋に通された。
「それで...、頼みって?」
「私達の計画に協力してほしい。
セルリアンを生み出す計画。あの山に詳しい人が必要なんだ」
単刀直入に話した。
「流石にそんな他人に迷惑を掛けることは出来ないし...、
セルリアンなんて危険なこと...」
「そう言うのはわかってるよ...。わかってる。
けど、私達はその覚悟でやってるんだ。
自分たちの命を失う覚悟で」
チラッとフェネックを見た。
小さく肯く。
「なんでそんな...、投げ出そうとしてるの?」
「本音を言うと、この姿でいるのが私は辛いんだ。
悪い事をするのは、自分を見てもらいたいからなのに。
みんな批判する。私達を...。
フェネックもそうだった。自分を見てもらおうと思って」
「うん...」
「みんなみんな、嫌な顔するんだ。いい加減嫌なんだよ。
この際、私達がセルリアンの始末をする。だから、一瞬だけでいいんだ。
この島のみんなが、私達に注目する時間を与えてほしい...」
ギンギツネに懇願した。
「あなた達の為に、私が悪行の片棒を担ぐって訳ね」
「ああ...」
タイリクは彼女の顔を見ながら、息を吐くように肯定の言葉を述べた。
「本当は止めたいけど。無理に引き止める強制力のある権利は無い...。
私は、あの山を案内してセルリアンを生み出すのに協力する。
けど、そこから先は私の管轄外。あなたたちが全部処理してね」
「ああ、恩に着るよ」
タイリクが礼を言った後、フェネックが尋ねた。
「...ギンギツネは悪い事したいって思わないの?」
「偶には、ね...。
でも、思っても実際やろうとは思わない。不思議なものね」
そう答えると、準備するからと言い、部屋を出た。
数十分後
「タイリク。あの山まで案内する。乗って」
バイクの様な乗り物に跨った。
ギリギリ3人乗れる。
後ろには家電が沢山積んである。
「じゃあ、行くわよ。掴まってて」
3人は聖なる山へと向かって行った。
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