第3話 新たな野望

湖畔に辿り着いた。

砂漠通ったが、フェネック曰く

『引きこもりの狂人と頭の中お花畑』しかいないらしい。そんな奴は相手にする価値が無いと思い無視した。


ただ、バイパスの途中にあった扉を止めていた下駄を盗んで来た。


たが、ゴミなので湖畔の池に投げ捨てた。


しばらく進むと木がドミノの様に並んでる。“どうぞ倒してください”と言わんばかりの配置だ。


「フェネック、やろうよ」


「おっけー」


絶好の鬱憤晴らしだ。

一緒にその木の1つを蹴り倒した。


ドミノ倒しの要領で全ての木が倒れた。


「うわああああっ!!」


水辺から声が聞こえた。


「せ、せっかく増築しようと思って取っておいた資材を!!」


「ふふっ、バーカ」


フェネックがケラケラ笑いながら言った。


「通り道に置くんじゃねーよボケ」


タイリクもそう言って罵倒した。


「ぐぐぐ...、許さないっす!」


いきなり池から飛び出してきたので、逃げる。


「何アイツ足おっそ〜」


「余裕で逃げられるね」


そんな調子に乗った事を言っていると...


「「...!」」


ドスッ!!



「ははは!引っかかったでありますな!

セルリアン用の落とし穴にひっかかたであります!」


「ナイスっす、プレーリー。オレっちの

資材を態と倒した奴らっすから!」



そのやり取りは2人にも聞こえていた。


「タイリク、あいつらマジむかつくよぉ〜」


フェネックが少し頬を膨らませ怒る。


「解せないね。でも私達ならここから抜け出せるだろう」


「...穴掘るのー?」


「そうだよ」


面倒くさそうな顔を見せた。


「私もやるよ」


一緒に横の土壁を掘り始めた。

脱獄はお手の物だ。


けど、時間が掛かるのは仕方が無い。


そして...

2時間の後、外に出る事が出来た。


「もうアイツらは許せないんだけど」


「家を壊そうよ」


木造建築の建物を指さした。


「うん」


フェネックと一緒に家へこっそり近付いた。


すると...


「止まってください!」


背後から鋭い声がし、振り返った。

そこには3人のフレンズの姿があった。


「お前達、タイリクオオカミとフェネックだな。私達はセルリアンハンター。

パーク中のフレンズからお前達に酷い事をされていると報告を受け、捕まえに来た」


「悪い子はお仕置きしますよ」


「そ、そうですよ!」


真剣な眼差しで2人を見つめる3人組


「お仕置き〜?何アホな事言ってんの?

ゴミ、クズ、マヌケの三馬鹿トリオが」


「こっちから逃げてやる!」


「...ッチ、誰がゴミじゃ!

ガキの癖に調子乗りやがって!」


語気を強め、熊手を構え襲い掛かる。


「どこでそんな言葉をっ...!

お仕置きですね...!」


「ま、マヌケ...、って...」

(本当にマヌケかもしれないけど...)


2人は逃げ切れる自信があった。

しかし相手の方が1枚上手だった。

セルリアンハンターであることから、動きとても機敏で、行く手を塞がれてしまった。


「観念しろ悪ガキめ!」


「島流しにするわよ!」


「お、大人しく...、し、しろ、してく...、し、しなさいっ...!」



フェネックが擦り寄る。


「怖いよぉー...」


「任せなよ。こっちだって野生解放は使えるんだ」


タイリクは右手を引いて勇ましく向って行った。

しかし...


ゴンッ...


3人相手に勝てる訳がなかった。


結局、タイリクとフェネックは両手を縛られ、木から吊るされた。


「悪かったからさ…、許してよ...」


フェネックは悲しげな顔で訴えた。


「そんなんで許すわけが無いだろ」


「自分たちが行って来たこと、自覚しなさい」


「頼むよ...、もう一切他人に迷惑かけないから...」


タイリクが言う。


「そうやって嘘で騙して、裏切ってきたんだろう。信用ならんな」


はっきり言って2人の命乞いは無駄だった。


「罰として尻打ち100回だ...」


「痛い思いをしないとわからないでしょ?悪い子さん...」


(先輩やべえ...)


リカオンも毛が逆立つ程、とても剣幕だった。





バシッ!


「うわぁぁあん....、痛いよぉ...」


バシッ!


「...痛ってぇ...」


「おいおい、そんなんで涙目になんのか!

弱いなあ!そんな奴が他人をいじめんのかよ、最低極悪極まりないな!」


「まだ20回ですよ!悔い改めなさい!」


(容赦ない...)




バシッ!バシッ!バシッ!



フェネックは駄々を捏ねる子供の様に

泣いた。


「痛いってばぁ...やめてよぉ...もうしないからぁ...」


その声を聞いて居た堪れなくなった。


「フェネックだけは...、やめてくれ...」


「ああ?こんな時だけ仲間を庇うのか?」


「都合良いですね。情に訴えても無駄ですから」



「フェネックは...唯一の...友達...」


タイリクの声は萎縮していった。


罰を受けた二人は四方を木で囲まれた、

窓のない、辛うじて天井にランプが吊るされているビーバー特製の牢獄に入れられた。


フェネックはあれから、ずっと泣きっぱなし。タイリクはあやす様に彼女を抱き頭を撫でた。


「うぅっ...どうしてわかってくれないの...」


「奴らは理不尽なんだ。平和を押し付けようとして...」


「わたしだってわるいこじゃないのに...っ...あそんでる...だけなのに...」


「本当に最低だよ...。私達を理解しようとしない」


「ムカつくよぉぉ...!!ぐすんっ...」


「...こうなったらとことん悪戯してやろう。みんなに知らしめるんだ。

私達のことを。みんな私達に従うようになれば、みんな私達を責めない」


「どうやって従わせるのさ...」


「あそこにサンドスターの山があるだろう?あそこには強いセルリアンがいるらしいんだ。強いセルリアンを目覚めさせるんだ。良い悪戯だろう?」


彼女は目元を拭いて私を見つめた。


「パーク中大パニックさ。

私達にこんな辛い思いをさせた奴らに辛い思いをさせる。そうすれば、奴らは弱いから、セルリアンを操った私達のいいなりだよ」


「...いいね。それ...」


彼女の顔に笑みが戻った。


「じゃあ、ここを出ないとね」


「どうやって?」


「勿論...、力ずくさ!」


身構えて渾身の一撃を放った。




「.....ハッ!!」


居眠りしていたリカオンが気付いた時には、既にもぬけの殻だった。


(ま、まずい...)


「おい!リカオン!!何故取り逃がすんだ!」


「職務放棄は許されませんよ。

お仕置きにボスのぬいぐるみを1週間没収します」


「そ、そんなぁ、キンシコウ先輩...」


そんなで、ハンターたちも極悪コンビの

捜索を始めたのだった...。




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