第2話 ちょっと寄り道
「ふぁあああ!いらっしゃあああい!」
たまたまロープウェイがあったんで興味本位に行ってみたら、貧相なカフェがあった。
「紅茶を出すから待っててにぇ!」
白毛のアルパカと名乗るフレンズが
切り盛りしているらしい。
「ねぇねぇ」
フェネックが袖を引っ張る。
「ちょっと困らせてやろう」
彼女は子供の様な純粋でワクワクした目で
話しかける。
「一々確認するかい?」
私は鼻で笑い言い返した。
私達が何もやらずにお茶だけ飲んで帰ると
思ったら大間違いだ。
フェネックは悪戯をする事に秀でている。
自分の欲求を満たす為なら、他人に怪我をさせても構わない。そんな性格だ。
「ねえ、アルパカ、面白い話をしたいんだけどいいかい?」
私が彼女の気を引いている間に、フェネックが小細工をする。
「なになに?」
「これはあるフレンズの話なんだけど...」
私は絵を描くのも得意だが、話を創作するのも得意だ。
もし、絵と物語を合体させたモノがあったとしたらそれを作って行くのも悪くは無い人生だったかもしれない。
けど、そんな都合の良い物は存在しない。
現実を直視しよう。
「ふふっ...」
一方フェネックは電気ポットに繋がっている黒い線を引っこ抜いた。
「...黒色の物体を見てしまったんだ...。それ以来彼女は姿を見せなくなったんだ」
「うわぁ...、ゾッとするにぇ...」
身震いさせた。
「アハハ、いい表情だね。
ところで...、お茶はまだかな?」
「あっ、そうだったにぇ!」
アルパカと場所を入れ替わる形で、
フェネックが席に着いた。
「どうだった?」
「バッチグーだよ...ふふふっ...」
調子は良いみたいだ。
「あ、あるぇ?
何でぇお湯が出ないのぉ?」
彼女のリアクションを見てクスクス笑う。
「アルパカぁー、まだなのー?」
フェネックが言う。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ...」
「何時まで待たせるつもり?」
苛立ったように言う。
「まあまあ、フェネック。落ち着こうよ。
得意な事はフレンズによって違うだろう?」
「まあ、そうだよねー」
「あれっ...、線が抜けてる...」
アルパカはやっとその事に気が付いた。
「全く、アルパカはおっちょこちょいだなぁ」
「不器用だねぇー、客も待たせるし...
だからお客さん全然いないんじゃないの?向いてないよ、辞めちゃえば?」
「...あのにぇ!!」
唐突にアルパカは、語気を強めた。
「こっちは頑張ってやってんだよお!
ちゃんと黒い線は入れたしっ!!
そうやって他人の事を悪く言うのは
ムカムカするにぇ!!」
「何ブチ切れてんの?意味わかんない」
「それがアルパカの本性なんじゃない?」
「こんな性格の人が作るお茶なんて、
大体想像できるよね〜」
バンッと机を叩く音がした。
そして、2人の座る机に向かった。
「こんな子達に紅茶飲んで欲しくないよぉ!!ペッ!ペッ!」
「うわっ!」
「えぇ...」
「カフェには立ち入り禁止だよっ!!」
2人は摘まれて外に追い出された。
「何アイツ、クソじゃん...、臭っ...」
「ッチ、ガチギレすんじゃねえよアイツ」
上空をその時、あるフレンズが通りかかった。赤と白のフレンズだ。
「あなた達...、誰?」
「アンタに構ってる暇はないよ」
「さっさと消え失せてくれ」
「...」
そのフレンズは両手で2人を鷲掴みにした。
「ちょっとなにすんのさ...!」
「やめてくれ、痛いじゃないか!」
「ひどいわ...、何もしてないのに!」
森の中にポツンとある池の上で両手を離した。
「なにさ!?」
「おいおいっ...!!」
ボチャン!!
2人は案の定ずぶ濡れになった。
「何でこうなるのさ...」
「全くわけがわからん...」
彼女らに悪いことをすると自分たちに帰ってくるという認識はない。
懲りずにまた、とぼとぼと新たな地に向って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます