第38話 出入口

右側の通路が行き止まりと判明し、残り二つの通路を探索するため、レアは次は中央の通路を移動する。



「曲がり道が多いな……だけど今のところは一本道だな」



先ほどの通路と比べると曲がり角が多く、それでいながら道自体は一本道なので迷う心配をせずにレアは突き進むと、やがて見覚えのある広間に辿り着いた。



「あれ!?戻ってきた!?」



だが、広間の中央にレアは自分が作り出した一軒家を発見し、自分が出てきた通路が最後の左側の通路だと判明する。彼は中央の通路から移動して左側の通路から広間に戻ってきた事を確認し、二つの通路が繋がっていた事が判明する。



「何だよ……結局は逆戻りか。あれ、ということは出口がない!?」



レアは3つの通路を移動を終えた事になるが、どの通路にも階層の出入口らしきは見つからず、残されたのは彼が最初にこの広間に到着した際に利用した現在は閉ざされた通路しか存在しない。



「どうしよう……でも衣食住はどうにでもなるんだよな」



普通の人間ならば過酷な環境かも知れないが、文字変換の能力でありとあらゆる物を生み出せるレアにとっては現時点の環境でも問題なく生き残る事が出来る。それでも脱出の手段を見つけなければ他のクラスメイトと再会する事は出来ず、彼は本格的に自分の能力で脱出する方法を考える。



「文字変換でどうにか脱出できないのかな……スキルを変換させて新しいの能力を手に入れるか、あるいは脱出系の魔道具を生み出すか……だけどそんなに都合よく出来るのかな……」



現時点の文字変換の数字は「4文字」しか変更できず、レアはステータス画面を開いて自分の能力を確かめる。これまでに彼は多数のスキルを覚えているが脱出に繋がりそうなスキルは見当たらず、現在の状況を切り抜ける能力か道具を作り出せないのかと考えていると、彼は自分が愛用しているRPGゲームの中に脱出用の魔法を存在した事を思い出す。



「こっちの世界には存在しないかもしれないけど……やってみるか」



彼が現実世界ではよく遊んでいたゲームの主人公が覚えていた魔法名を思い返し、念のためにステータス画面の「戦技」の項目を確認して彼は適当に使用していない「拳打」と表示されている格闘家の戦技に指先を向ける。



「……これでいいのかな?」



無事に文字変換の能力が発動し、彼が変更した文字は「転移」であり、現実世界のゲームでは魔法を発動すると別の場所に自由に移動出来たが、文字の変換を確定した瞬間にステータス画面上の戦技の説明文が変化する。



『転移――転移魔法を発動させ、自分の訪れた場所に移動出来る。但し、転移先の距離が遠い程に魔力を大幅に消費する。1日に1度しか使用できない(使用不可)』

「やった!!あれ……でも使用不可なのか!?」



無事に戦技の能力の変更には成功したが、レアの職業が「付与魔術師」である事が関係しているのか覚えたにも関わらずに転移魔法の発動は出来ない事が判明し、仕方なく彼は「使用不可」の部分も文字変換の能力を使用する。



「不可を可能に変えてて……よし、出来たっ」



レアは「使用不可」の文字を「使用可能」に変換させると、無事に能力が発動する事が判明する。彼は早速能力を試す為に「転移」を発動させようとした時、自分の行先を何処にするべきか考える。説明文によれば移動距離によって魔力の消費量が変化するらしく、下手に遠方の場所に転移すると彼の魔力が削られて身体に異常が生まれる可能性も否定できない。



「移動距離によって魔力の消耗量が変化するのが厄介だな……それに1度しか使用できないのも面倒だな。ここら辺は明日に条件を変更させるか」



明日の朝一番に文字変換の能力で「転移」の能力を使いやすいように心に決め、今回は現時点の転移の能力の使用時に消耗する魔力を確かめるため、彼は自分が寝泊まりしている家に視線を向けて距離を測る。彼が存在するのは20メートル程離れた3つの通路の入口であり、試しに彼は最初に入り込んだ死喰人と遭遇した通路に移動を行う。



「このぐらいの距離でいいか……よし、まずは移動先を思い浮かべて……念のためにアイテムボックスに剣はしまおう」



通路の行き止まりまで到着したレアは広間とこの場所の距離が「500メートル」だと仮定し、この距離から能力を発動した際の魔力消耗量を確かめるために彼は「転移」を発動させる。



「転移!!」



次の瞬間、彼の足元の地面に「魔法陣」が誕生し、レアは自分が最初にこの世界に訪れる前に教室に現れた「召喚魔法」の魔法陣と紋様が告示している事に気付き、最初の時と同じように魔法陣が光り輝いてレアの肉体が光に包まれた――




※今後の展開と設定を見直すため、1日に1話投稿になります。今の内に文字変換の能力に気になる点やアイデアがあれば遠慮なく感想で伝えてください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る