第17話 文字変換のデメリット
「まだ文字変換は使えるし……この際に一気にレベルを上昇してみようかな?それと熟練度も上げておくかな……」
レアは自分のステータス画面を確認すると、彼は試しに自分のレベルの数値を変換できないのかを試す。現在の彼のレベルは「1」のため、高められる数値は「9」が限界である。彼は指先を画面に構えてレベルに向けると、魔法陣が展開して問題なく数字を変化できる事を確認した。
「あ、やった!!これで一気にレベルを……ぎゃあああっ!?」
唐突にレアの肉体に激痛が走り、彼は耐え切れずにベッドに倒れこむ。最初は何が起きたのか理解できなかったが、すぐに彼は自分の肉体の異変が「筋肉痛」である事を悟り、指を動かすだけでも尋常ではない痛みが襲う。
「な、何で……まさか、レベルのせいなのかっ!?」
肉体の激痛の原因は文字変換の能力でレベルを上昇させた事にレアは気付き、最初は不正紛いの行動をした事で罰でも当たったのかと考えたが、それならばSPの数字を変化させた時点で何もなかった事に疑問を抱き、すぐに彼はレベルを上昇させるだけでも身体能力が上昇する事を思い出す。
「まさか……一気にレベルを上げ過ぎたせいで身体の負担が掛かったのか……!?」
彼は普通ならば有り得ない速度でレベル1からレベル9に上昇した事により、レベルが上昇する際の肉体の負荷が襲い掛かっている事に気付く。通常ならば魔物を倒す事で経験を積み、地道にレベルを上昇させる必要があるが、レアの場合はあまりにも短期間にレベルを上昇した事で肉体が急激な変化に耐え切れずに全身に激痛が襲った事を悟る。
「ま、不味い……!!こ、このままだと本当に死ぬ……!!」
必死に指先を動かし、どうにかステータス画面のレベルの項目に指を伸ばして数値を元に戻そうとした時、新しい画面が表示された。
『一度変換した文字は24時間は変更できません』
「嘘っ!?」
視界に新たに表示された画面にレアは驚愕と悲鳴が入り混じったを上げ、この状態が長引けば不味いと判断した彼は昨日のセンリの事を思い出し、彼女を聖属性の付与魔法で回復させた事を思い出す。
「え、聖属性エンチャント!!」
両手を胸元に構えて彼は自分の肉体に聖属性の付与魔法を施す。彼の付与魔法の中で唯一の回復魔法であり、更に自分の肉体を治療できる事もセンリの会話から察したレアは無我夢中に肉体の激痛を収めるために付与魔法を施す。何度も繰り返して使用した事で徐々に痛みが治まり、動けるようになるまで回復した。
「た、助かった……けど、やっぱりズルは駄目だな」
レアは自分のステータスを確認すると、いつの間にか追加されている文字変換の使用条件に溜息を吐き出し、今後は二度と不用意にレベルを上昇させない事を考える。この様子では他のスキルの熟練度も高める行為も危険だと判断し、彼は真面目に訓練を受けて身体を鍛える事を決める。
「いててっ……まだ身体が痛い。こんな事で訓練大丈夫かな……」
動く度に鈍い痛みが身体に走り、現在の付与魔法の熟練度では完全な治療は難しく、彼は訓練を受ける前に医療室に立ち寄ってセンリから薬でも受け取ろうかと考えた時、不意に彼は文字変換の能力とステータス画面を見て疑問を抱く。
「……このステータスは俺の能力を現しているんだよな。だから文字変換で変更すれば俺の肉体にも影響が出る。だけど普通に存在する文字を変更しても効果はないのか」
机の上に置いてある学生鞄からレアは手帳を取り出し、表紙の「黒鐘学園」という文字を確認する。本来の彼が通っている高校の名前は「白鐘学園」だが、最初に彼が文字変換の能力を試した時に学校名を1文字だけ変化させていた。しかし、手帳に記されている規則の方では普通に「白鐘学園」と表記されており、この場合は手帳の表紙の部分の名前だけを変更しただけに過ぎない。
「そういえば相手のステータスを読み取れるスキルもあると言っていたような……確か「鑑定」のスキルだったかな」
レアはステータス画面を開いて他の人間や物体のステータスを確認する事が出来る「鑑定」の技能スキルを発見し、試しにSPを消費して習得する。これで彼のSPは「33(レベル上昇の時に8のSPを追加)」に減少するが、試しに彼は周囲を見渡して無くなっても問題ない物を探す。
「そういえば部屋を変えて貰うの忘れてた……まあ、別にいいか」
自分が未だにウサンの策略で用意された物置小屋のような部屋に泊まっている事に気付き、仕方ないので彼は自分の学生鞄から荷物を取り出し、現在は必要のない物を探し出す。そして彼が見つけ出したのはインクが切れた「万年筆」だった。
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