第16話 強化系スキル

「よし、やっとSPを増やせるぞ。今度はしっかりと技能スキルを覚えないとな……」



レアは早朝の訓練の前に目覚めると、文字変換の能力が解除されている事をステータス画面で確かめる。彼はSPの項目を確認して「10」という数字を1文字だけ変えて「90」に変換させようとした時、指を止めて加護の使用条件の項目に視線を向ける。



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勇者の加護


『文字の加護――1日に1文字だけあらゆる文字を変換できる。文字の削除や追加は出来ない』



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彼は使用条件に記されている文章の確認を行うと、この文章に描かれている文字も「変換」出来るのか気になり、試しに指先を「1文字」の部分の数字に指先を押し付ける。すると予想外に指先に文字変換の魔法を発動させるときに生じる魔法陣が浮かび上がり、文字の加護の使用条件の文章でさえも能力が発動する事が発覚した。



「うわ、嘘だろ……本当に変える事が出来るのか?」



レアは指先に浮かび上がった魔法陣に戸惑いながらも使用条件の文字をどのように変化するか考え、数字の「1」を「9」に変える事も出来るが、彼はこの文章を漢字の数字に変換できないのかを試す。



「そうだな……万文字や千文字というのは文章的におかしいかな、それに変に変えすぎると能力は使用できなくなるかも知れないし……ここは百の数字でいいかな」



レアは使用条件の文章の「1文字」を「百文字」に変換させようとした瞬間、視界に新しい画面が表示された。



『文字変換の対象がアラビア数字の場合、別の数値のアラビア数字しか変換できません』

「あ、やっぱり駄目か……楽は出来ないという事か」



文字変換の能力にも制限が存在するらしく、アラビア数字の場合は変換させるときは同じ数字でなければ発動せず、漢字などや別の国の数字に変換する事が出来ない事が発覚した。それでもアラビア数字であれば文字を変換する事は可能らしく、レアは「1」から「9」という文字に変換させる。



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勇者の加護


『文字の加護――1日に9文字だけあらゆる文字を変換できる。文字の削除や追加は出来ない』

『文字変換の対象がアラビア数字の場合、別の数値のアラビア数字しか変換できません』


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「なんか条件が追加されてる……ズルをしようとしたせいかな」



先程は存在しなかった条件が追加されており、あまり不用意に使用条件の文章を変換する事は危険と判断したレアは今後は迂闊に使用条件の変更を試みないように決意する。それでも無事に文字変換の際に変更できる文字数が増えた事には成功し、彼はSPの項目を変更させた。



「これでよし……後はスキルを覚えるだけだな」



現時点のスキルは魔法関連を強化する固有スキルしか覚えておらず、レアは今回は訓練が始まる前に身体能力を強化させるスキルを探し出す。



「副職に格闘家の職業を覚えるか……ん?色々とあるんだな」



レアは職業スキルの項目を確認していると格闘家の他にも「拳闘家」「拳法家」「武闘家」という職業が存在する事に気付き、これらの職業は格闘家よりも上位互換に存在する職業だと判明する。最初の拳闘家は文字通りに拳を使用した打撃に特化した戦技を扱い、拳法家は格闘技術に特化した職業であり、最後の武闘家は両者の中間に位置する職業だとレアは各職業の説明文だけで予測する。



「俺の場合は拳闘家がいいかな……駄目なら普通に他の職業を覚えればいいだけか」



SPは有り余っているのでレアは拳闘家の職業を習得し、副職に設定する。更に彼は拳闘家の職業を習得したお陰でSP消費量が低下した技能スキルを覚える。



「えっと……身体能力を上昇させるのは「腕力上昇」に「脚力上昇」それと「剛力」に「加速」か……後は防御系のスキルの「体力上昇」と「頑丈」と「受身」と「回避」ぐらいかな……あ、戦技も覚えられるのか。こっちは「乱打」と「弾撃」これで丁度10個か」



全てのスキルを習得すると彼のSPが「35」にまで減少するが、そのお陰で彼は一気に身体能力や攻撃と防御を強化させるスキルを身に着けた。



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戦技


・乱打――拳を複数回突き出す  熟練度:1

・弾撃――全身を弾丸のように回転させて拳を打ち込む  熟練度:1


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技能スキル


・翻訳スキル――異世界に文字・言語を完全に理解できる



拳闘家(専用スキル)


・腕力上昇――腕力を上昇    熟練度:1

・剛力――腕力を倍加      強化スキル

・脚力上昇――脚力を上昇    熟練度:1

・加速――移動速度を倍加    強化スキル

・体力上昇――体力を上昇    熟練度:1

・頑丈――肉体の耐久性を上昇  熟練度:1

・受身――外部からの攻撃を軽減 熟練度:1

・回避――回避の際に迅速に行動 熟練度:1


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ステータス画面が更新され、レアは覚えたスキルを確かめると「剛力」と「加速」のスキルには熟練度の項目が存在しない事に気付く。専用スキルの中でも熟練度が存在しないスキルがある事を確認すると、彼は念のために他のスキルを覚えるべきか考える。

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