第86手 筋肉を鍛えし者が結局一番強い世界
「今度こそ殺してやるから覚悟してね?」
次の瞬間、俺の体が突然宙にへと浮いた。
「なっ…!?」
地面から2、3メートルの高さはあるだろう。
そして更に、俺の体が物凄いスピードで将棋星人へと引き寄せられる。何が起こっているんだ!? 抗うことも出来なかった。指一本動かせない。
「喰らえ。」
俺は無防備な状態で、将棋星人に顔面を思いっきり殴られた。引き寄せられた勢いと、意外にも将棋星人は体型とは反してかなりの怪力であった。
「がっ…!?」
俺の鼻はへし折れてしまい、口の中も切ってしまったようで、かなりの痛みが走った。気持ちの悪い血の味がする。
俺の体は地面へと落下した。
「た、たれぞー! 大丈夫か!? って、あれ? 体が動かねぇぞ!」
「お、俺もだ…!」
なんと、香と
そうか、分かったぞ!
「じゅ…重力…属性だな…!?」
地面に平伏す俺は、殺る将との戦いを思い出していた。あの時も、俺は一歩も動くことが出来ずに負けてしまったんだった。
「へぇ。よく知っているね。ご名答、これは重力属性だよ。このまま潰れて全員死んでしまえばいいよ。」
香と鶏王も、重力に耐えられずに、一気に地面へと吸い寄せられる形となってしまった。
痛い! 地面が体に沈む! 本当に潰されてしまう! 苦しくて息ができなくなっている…! 香も鶏王も、悲鳴に近い叫びを上げている。
万事休すか…!
そう思った時だった。
「ぐわっ!」
俺のすぐ近くに立っていた筈の将棋星人が吹き飛んだ。地面をゴロゴロ転がる将棋星人。少しダウンして、かなり驚いた表情をしてゆっくりと体を起こす。
「な…!? この重力で…動けるだと!? 何者だ!?」
ナイスタイミングだった。
川へ洗濯に行っていた天音姉妹、よもぎ五段が戻って来た。
天音姉妹が重力を物ともせずに、将棋星人を殴り飛ばしたのであった。
「「みんな、お待たせ! 洗濯は終わったよ!」」
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