第83手 バトル物にありがちな切断された頭部が喋る世界

 コイツが仲間を呼ぶことだけは絶対に阻止せねばならない。必ずここで今仕留める!


 俺は光属性を纏い、将棋星人に突っ込んだ。すっかり十八番となった斬を手にして。


「君は光属性なんだね? 中々、珍しいじゃないか。」


 将棋星人は俺の斬撃を全て躱す。恐らく、俺の体の僅かな動きで事前に攻撃が来る場所を察知している。かなり深い読みが入っているようだ。


「やっぱり地球人は弱いね。」


 将棋星人は歩を数枚、俺の体にぶつけて来た。


「ぐあっ!」


 ただの歩ではあるが、恐ろしい程の衝撃だ。ほぼマシンガンじゃないか。俺は吹き飛ばされて地面を転がる。このままだと殺されるのも時間の問題だ。将棋星人はこれでも本気を出している気配が見られない。


 恐らくその気になれば俺たちなんて一瞬で殺せる筈だ。


 ならば、奴が油断している今のうちに仕留めるしかない。使いたくなかったが、俺は地面に倒れている状態でこっそりと極玉ごくぎょくを手にした。何故か、ジャック会長との戦いの時に、ポケットに大事にしまっていたようだ。


 その時の記憶を失っているからよく分からないが。


 だけど、迷っている暇は無い。俺は躊躇なく極玉でオーラを増幅させた。自分でも驚く程のオーラが体から溢れる。


 よし、これならば!


 俺は、地面から勢いよく起き上がると、たっぷりオーラを込めた飛車を将棋星人に投げつけた。


「なっ、なんで急にオーラが…!」


 将棋星人は驚いているようだ。だけど、驚くのはまだ早いぜ?


 俺は、自ら投げた飛車に跳び乗った。何故か、記憶の片隅にあったんだ。前にもこんな技を試したことがあるような。


「喰らえ! 新たれぞーシステム!」


 流石の将棋星人も、光速を超えた動きにはついてこれなかったようだ。俺の斬が見事に将棋星人の首を刎ねる。宙高くへと舞う五角形の頭部。


「なん…だと…?」


 何故、首を切断したのに喋っている!?


 将棋星人の頭部は喋りながら地面へと落下した。

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