第58手 第2ラウンドが始まる世界

 きなこ五段の聖属性のお陰で、皆の傷がほぼ回復した。奇跡の能力だ。ちなみに、聖属性は傷の回復はできるが、失った血だけは戻らない。傷は治っても全員が究極の貧血状態だ。


「はぁ…はぁ…。」


 きなこ五段は、オーラを一気に使い切り、汗だくの状態である。


「きなこ…!大丈夫か!?」


 よもぎ五段が、フラフラとするきなこ五段の肩を支える。


「大丈夫よ…。あ、あの!は、羽野くん…間に合って良かった…。」


「あ、ああ!本当に助かったよ。ありがとう、きなこ五段!」


 きなこ五段は、疲労が激しいようで無言で俯いてしまった。


「にゃ?あの男…!?俺の記憶が飛ぶ前に、微かだけど会った気がするぞ!」


 猫王にゃんおうが突然、バカ兄貴の顔を見て叫ぶ。まさか、猫王を操っていた犯人までアイツだったのか!?


猫王にゃんおう…。お前は結局負けて、使えない奴だったな。ここでしっかり処理しよう。」


 バカ兄貴が微かに笑う。そんな中、ロリコン師匠が口を開いた。


「底歩…。無駄な戦いは止めないかい?」


「無駄な戦いだと?俺が止まるとでも思っているのか?毒島ぶすじま…今日こそお前も殺してやる。さあ、邪龍!奴らを殺せ!」


 プロ棋士側は、かなり戦力が増え、殺されかけてた俺らもそれなりに回復した。だが、この邪龍の強さは異常だ。


 どうやって勝てばいい?


 不安もあるが、第2ラウンドが始まった。

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