第7話 森を作ろう
「ふわ~。ベッドの寝心地すごい良かったわ~」
翌日、オレは豪邸の一室にあるベッドにて起床する。
昨日はあれから何を作ろうかと迷い、あっちこっちを散策したり、お風呂場を使ってみたりと色々している内に一日が過ぎてしまった。
とはいえ、豪勢な寝床に当面の食料は確保してあるので急いで何かを作る必要もない。
しかし、神様からこの世界の創造を任された以上、一日ちょっとずつでも何か作っていくべきだろう。
ひとまずオレは畑から採った野菜を調理台で軽く調理し、朝飯を食べた後、豪邸から外に出る。
さて、今日は何を作るか。
昨日色々と作るものを悩んだのだが、やはりまずは川にいる魚の種類を増やそうと思う。
現在、川にいるのは朱魚が主なもので、その他に小魚が少々いる程度。
しかし、それだけでは寂しいので食用の魚を増やしたところ。
あと出来れば魚以外の食用の何かを川に増やしたい。
正直、異世界ということもありどんな生物が生まれるのか未知数であるが、それも含めて試してみたいところ。
早速オレは川に行くと、川の中目掛け、財布から取り出した一円玉を投げ込む。
イメージは『食用となる川に生息する生物』。
一円玉が川の中に沈んでいくと、一瞬水面が光輝き、次の瞬間、川の中に見たこともない生き物がわっと増えていた。
「おー!」
そこにはキングコブラのように頭の部分が特徴的な蛇のような生き物が川の中を泳ぎ、他にも真っ赤なクラゲのようなものも水中にふよふよと浮かび、他には山椒魚のような生き物まで川の底を泳いでいた。
すげー、一気に色んな種類の生き物が増えた。
当然、魚の種類も増えており、朱魚の数倍はある大きな魚も川の中を泳ぎ回っている。
ええと、食用となる生き物と念じて通貨を投げたわけだから、この中にいる連中は全部食べられるってことだよな?
念のため近くを泳いでいたキングコブラのような蛇魚を見ると、そこに説明の文字が浮かんでいた。
【ウォーターコブラ】
水の中を泳ぎ回る蛇魚。見た目に反し大人しく水の中に生えている草を食べる。毒はなく人を襲うこともない。
身がしっかりと詰まった魚であり、鍋や焼き料理とどれに使用しても美味しい。
なるほど。見た目はコブラっぽいが地球のコブラとはまるで違うんだな。
他にも水中を泳ぎ回る生き物達を確認したが、どれも危険はなく食用のものばかりだ。
あとで昼食の際に料理してみよう。とはいえ、あの山椒魚っぽいものはさすがに調理するのは躊躇われるが……。
川での創造が一通り終わったところでオレは次なる創作物へと入る。
今日の創造のメイン、それはずばり森だ。
まず、ここは辺り一面何もない草原が広がるばかり。
これだけでは風景としても寂しく、やはり景色を彩る何かが必要。
神様からも色々作ってくれと頼まれたため、まずは森を作ってみようと思う。
とはいえ、森はこれまで作ってきたものよりも大規模な創造になる。
大きさというか、面積もそれなりのものでなければ森とは呼べないだろう。
なので、今回は初挑戦ではあるが奮発して『10円』を使用しようと思う。
実際『10円』で、どれくらいのものが作れるのか、それを検証する意味でも今日はこの森の創造をメインにする。
村や豪邸から少し離れた平野を前にオレは右手に十円玉を握り、ひと呼吸した後、それを放り投げる。
イメージは勿論、森。
十円玉が地面に落ちると、その瞬間、オレの目の前で瞬く間に地面から樹が立ち上り、それが次々と生えていく。
気づくとわずか数秒間の間にオレの目の間には広大な森が生い茂っていた。
うお、一瞬にしてマジで森で出来上がった。
広さは……右や左を見ても結構先まで森が広がっており、当然目の前もたくさんの樹が生えて、その先がどうなっているのかも分からない。
オレは恐る恐る森の中に入るが、そこは意外と木漏れ日の光が差し込み、薄暗い雰囲気ではなく、むしろ落ち着く自然の風景が広がっている。
樹の種類もひとつだけではなく、様々な種類のものが生えているようだ。
また森の中を歩いていると時折、樹の根のそばにリスのような生物を見かけたり、木々の間を飛び交う鳥なども見つけた。
なるほど。この辺も川と同じように森などといった自然を作った場合、そこにいるであろう最低限の生物も一緒に創造されるわけか。
そう思いながらも、鹿や猿などといって比較的大きめの生物には会うことなく、どうやらそうした生物を作る場合はやはり別に創造しなければいけないようだ。
とはいえ、森の広さはかなりのものでありまっすぐ歩いたにも関わらず森を抜けることはできず、迷うと大変なことになると思ったオレは一端入口まで引き返した。
残り通貨:13731円
【創造物】
豪邸×1
村×1
野菜畑×1
りんごの樹×1
魚達がいる川×1
森×1
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