第6話 川を作ろう

 次は川とかどうだろうか?

 一応村に井戸があり、豪邸にも水を湧き出す『水魔石』がある。

 だが、それとは別に水を自由に採れる場所があるといいし、なによりも川なら魚など生まれるかも知れない。

 野菜もそうだが魚があれば、食べるものも増える。


 そう思ったオレはすぐさま豪邸の隣に移動すると、そこへ一円玉を投げる。

 イメージは勿論、川。


 一円玉が地面に向け消えると同時に、そこから瞬く間に水が湧き上がり、それがドンドンと広がり川を形成していく。

 さらに小高い丘のようなものまで出来ると、そこから泉が湧き上がり、滝となって川を作ってくれた。


 おお、これはいい。

 早速出来上がった川を確認するが、水は透き通り、とても澄んだ水であった。

 口に含んでみると冷たくて、美味しい!

 まさに純度百パーセントの自然の水という感じだ。


 さらに川の中を観察していると、どうやら川の中には何種類かの魚達が住んでいるようだ。

 なるほど、川を作ると自動的に魚まで想像してくれるのか。これはありがたい。

 とはいえ、魚の数は種類は少なくどれも小魚といった感じだ。大きさも十センチ程度のものばかり。

 やはり魚の後ほど別に作った方がいいかもしれないな。

 とはいえ、とりえず川の創造は完了だ。


 となると、次は料理か。

 一応、一人暮らしをしていたため、料理にはそこそこの自信がある。

 野菜や水、魚があるのなら、それらを調理して料理を作れる。

 包丁などの道具に関しても先ほど豪邸を調べた際、調理台にそれらしいものがあった。

 ふむ。まずは試しに作ってみるか。


 そう思ったオレは川の中に入り、魚を取ろうとする。

 不思議なことに魚はオレが近づいても逃げる気配がなく、時折足元を泳ぎ回る。

 オレは慎重に動き回る魚を補足し、そのまま両手で掴む。


 おっとっと! さすがに捕まえると手の中で暴れるが、そのまま勢いよく地面の方へ投げ、地面に投げ出された魚はビタンビタンと地面を叩く。

 ふうー、意外となんとかなったな。

 とはいえ冷静に見ると、その魚はオレが知る地球の魚とは異なっていた。


 色は鮮やかな朱色であり、奇妙なことに尾びれではなく尻尾のようなものが生えた魚だ。

 おそらくはこの世界特有の魚なんだろうが……うーむ、これ食べられるのか?

 不安に思うオレであったが魚をじーっと見つめると、例の文字が浮かんだ。


【朱魚】

 鮮やかな朱色の魚。この世界の川に住むメジャーな魚であり、多くの人々に親しまれる魚。

 味も美味しく、特に卵を抱えたメスの魚はとりわけ美味。


 なるほど。やはりメジャーな魚であったか。

 しかも、何やら豆情報的なものまで分かったので、これはありがたい。

 オレは早速、他にも朱魚を二匹ほど手づかみで川から取ると、そのまま豪邸へと持ち帰る。


 よし、次は魚だ。

 そう思ったオレはすぐさま野菜畑に移動して、ピーマン、ナス、人参などを収穫する。

 これで材料は揃った。では、早速調理開始と行こう。


 キッチンに立ったオレはまず人参、ナス、ピーマンを包丁で適当な大きさに切ったあと、置いてあった鍋を掴み『火魔石』の上に乗せると、『火魔石』の魔力を使い火を起こす。

 鍋が温まったのを確認すると切った野菜を入れて適当に炒める。

 その後、炒めた野菜を皿に移し、朱魚を拾った棒で串刺しにすると『火魔石』の上でゆっくり焼いていく。

 中にしっかり火が通ったのを確認すると同じく皿の上に朱魚を乗せる。


 うむ、完成。野菜炒めと焼き朱魚。

 ついでにきゅうりとトマトを切ったサラダもつけて、こんなものでいいだろう。

 調味料がないのが寂しいが、それはあとで作ってみるか?

 とりあえずオレはそれらを豪邸の一室に運び、机の上に乗せると両手を合わせる。


「よし、それじゃあ、いただきます」


 早速料理を口にしてみるが、うん。味付けしていないが、この素朴な味も悪くない。

 それと朱魚の味が思った以上に美味しい。

 ふっくらとした白身が口の中に広がる。

 内一匹がどうやら卵を抱えた魚だったようで、一番近い味ではシシャモだろうか。美味しい。

 ご飯がないのが残念だが、それでも満足のいく昼食を取り、オレのその日は過ぎていくのだった。


残り通貨:13742円

【創造物】

豪邸×1

村×1

野菜畑×1

りんごの樹×1

滝のある川×1

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