奈央チームside〜忍び寄る魔の手
「ふんっしぶとい相手だったわ、義経四天王は…。
でも誰だって呆気なく終わりを迎えるものよね、花のように…。」
そう言いながら夕菜が不気味に微笑む。
「さあ次はどの害虫を始末しようかしら?」
夕菜はまるで獲物を探す肉食獣のような顔つきで辺りをキョロキョロと見回す。
そして、数十メートル程先に友里亜と里沙、奈央、美晴が歩いて来るのが目に飛び込んできた。
(友里亜、あの女…!!)
夕菜は栗色のポニーテールを風に靡かせながら歩く友里亜の姿を見ながらギリリと奥歯を噛む。
(あの女、あの女だけは許さない…!!絶対に殺してやる…アタシ等の計画を邪魔しやがって…。)
夕菜は隣に兵達を置いて友里亜達が近づいてくるのを待つ。
彼女らが近づいたところで襲い掛かるつもりだ。
兵の数はざっと20程。30人程の兵は忠信達と戦った時に倒された。
流石は乱世を生き抜いてきただけあり、戦闘力はかなり高い。
オマケにボロボロになっても刀が刃こぼれ塗れになってもしつこく斬りかかってくるからかなり苦戦したくらい。
このままじゃ全滅させられるのではないかと恐れたが空気銃が役に立ったみたい。
敵ながら中々やるなと思ったけれど、なあんだ人ってこんなにも呆気ないんだ。
まあでも害虫が一気に4人減っただけで嬉しいと夕菜は悪魔の笑みを浮かべながらそう思った。
「この辺は何も居なさそうだね。」
美晴が小動物のように辺りをキョロキョロ見回しながら呟く。
「そうね、特に何も居なさそうよね。そりゃあみんなが頑張って倒したもの。」
奈央が勝ち誇ったような口調で言った。
そんな奈央の様子を見て友里亜が困ったように笑いながら
「でも物陰から襲いかかってくることもあるから注意しなきゃね。」
過去にゾンビ対人の戦いを味わった友里亜が言うと説得力が高い。
「クソっこれじゃあアタシの計画が水の泡じゃないの!
なんでこうも、もぬけの殻になってるのよ!?」
友里亜達の会話を聞いていた夕菜がヒステリックな声をあげる。
(なんでよ、なんでこんな事になってるのよ!?)
彼女は悔しさのあまりに地団駄を踏んだ。
するとその時夕菜の部下である上等兵がこんな提案をしてきた。
「ゾンビの大群をあの4人の元に向かわせる手もありますが…。」
(それよ!!その手を使えば兵を失う事もなく邪魔する害虫を駆除できる!!)
この方法なら兵力を失うことはない上にこちらが手を汚すことはまず無い。
数体程のゾンビは倒されてしまうだろうが大群で襲いかかられたら誰だって為す術もなくあっという間に殺られてしまうだろう。
(じゃあこっちは邪魔な害虫共の死にゆく姿を楽しみながら見させてもらうわ。)
そう思いながら夕菜はケラケラと声をあげて笑った。
今まで散々此方の計画を邪魔してきた害虫が更に減るのだと思えば嬉しくて嬉しくてしょうがない。
(コイツらを始末すれば残るはあと5人だけ…。
アタシ等の邪魔をしたことを後悔させてあげるわ。)
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