両親の思い
明日美の両親、母の麻莉奈、父の蒼汰は避難所に残る決意をして早1ヶ月。
明日美、あの子は大丈夫かしら?
でもみんながあの子を守ってくれている筈だから大丈夫だと信じよう。
今から15年前、あの子が生まれた時、世界の色がより一層鮮やかになったかのような気がした。
あの元気な産声は今でも鮮明におぼえている。
そしてあの子が1歳になった頃、あの子に始めて出来た友達が裕太君と一翔君だった。
二人はいつでもあの子と遊んでいたし、わたしも蒼汰も二人の事が可愛くて可愛くてしょうがなかったっけ。
それから2年後、あの子が3歳になった時だったな、牛若丸って言う名前の男の子と仲良くなったのは。
始めてそれを聞いた時は腰が抜けるくらいにびっくりした。
話を聞いてみれば石碑の前で転んだらしい。
まあ家の近くにある石碑は昔の時代と繋がっていると言う話を幼い頃から聞いていたからあまり驚きはしなかったな。
ただあの子が有名な人物と友達になったという事自体あまり信じられなかった。
そしてその一年後、あの子が4歳の頃の事、あの子ったらまた石碑の前で転んじゃって今度は季長(幼名が不明)って名前の男の子と仲良くなったっけ。
どちらも驚いたけれど実際に会ってみれば二人とも喋り方が堅苦しいのを省けば至って普通の男の子だし、あの子よりも4歳年上だし何よりお行儀が良いから気がつけば時代の壁なんてすっ飛んじゃってたし、わたしも蒼汰も二人を可愛がった。
それからあの子が5歳の頃、新しく保育園にやってきた奈央ちゃんと里沙ちゃんと仲良くなった。
奈央ちゃんと里沙ちゃんはお行儀もよくて面倒見も良いからあの子のお世話も進んでやってくれたわね。
だからわたしも蒼汰も二人が可愛くてしょうがなかったっな。
時の流れは速いもの、あれだけ小さかったあの子達は今ではすっかり大きくなっている。
どうか何事も無くこの事態を切り抜けられるように…。
どうかみんな無事でいて…。
二人は心の中でそう願った。
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