賑やかな再会

 サキのことなんか忘れよう、そう心に決めたはずなのにサキの事が頭にちらついて掻き消そうにも消せない。


 これで良かったのかな?なんて思いながら裕太の家に戻ってきた。

 すると家の前に見慣れた少女が三人、奈央と里沙に友里亜さん。

「幾ら呼んでも出てこないと思ったら一体何処に行ってたのよ?」

 奈央が裕太に尋ねる。

「ちょっとそこまで。」

「ったくもう、肝心な時に居ないんだから。」

「で?なんの様?」

「暫く家に入れてほしいの!!」

「あっそう、好きにすれば?」

 全く、奈央と4人は折り合いが悪いからなあ…。顔を合わせれば言い合い、所謂ケンカ友達。


 とりあえずわたし達は家に入り戸締まりをちゃんとして2階の和室に向かった。

「全く、話の通じないアホが来たから大変だよな。」

 裕太が奈央を横目で見ながら言った、それをバッチリ聞いた奈央が食いつく。

「誰が話の通じないアホなのよ?わたしは理解力はあんたより高い自信あるけど?」

「お前の事に決まってるだろ?つーかもう既に話が通じてねえじゃん。」

 二人のやり取りに美晴ちゃんがプッと吹き出す。

 まあ何より奈央達が来てくれて良かったよ。


「それで4人共、明日美ちゃんと仲良くしてる?」

 里沙の質問に4人が一瞬黙り込む。それを見た奈央がさぞ可笑しそうに

「どうせ仲良くしてたんでしょ?言わなくても分かってるわよ。」

 そんな奈央に裕太が

「別に仲良くしてねえし、渋々仲良くしてやってるだけだし。」

 その一言に奈央はお腹を抱えて笑い出す。

「渋々で仲良く出来るものかしら?あんたの言い訳には毎回笑わされるわ。」

 奈央に図星を突かれたのか彼は黙り込んでしまった。

「一翔君に源君、竹崎君は明日美ちゃんと仲良くしてるかしら?」

 3人に向けられた里沙からの問に彼らは相変わらずの無表情で答える。

「さあね、ご想像に任せるよ」

「「さあどうだろうな?」」


「もうどいつもこいつも素直じゃないのね。」

 奈央の一言に裕太が一言。

「俺たち4人は充分素直だろ?」

 その一言に奈央は再びお腹を抱えて笑い出す、隣では美晴ちゃんも笑っているし友里亜さんも笑っている。

「反対言葉ばっかりしゃべるの1名と素っ気ないの3名、これの何処が素直なのかしら?

 それともこれも反対言葉なのかしら?」


「うるせえよ、これだから話の通じないアホは困るんだよな。」

「素直になれずに反対言葉ばっかり喋るのと素っ気ない態度ばっかり取る方がよっぽど困るんですけど!?」

「いや、君みたいに口うるさい人の方が困るんだけど…。」

 途中から一翔が口を挟み奈央vs裕太だったのが奈央vs裕太&一翔になる。

「別にわたしは口うるさくなんかないわよ!!」


「全くうるさい女子は困るな。」

 季長がため息混じりに呟く。

「相変わらず口の減らない…。」

 義経がやれやれとでも言うような仕草を見せる。

「というかあんたらには減らす口がないでしょ!!」

 奈央が彼らに対して容赦なくキツイことを言い放つ。

 気がつけば奈央vs裕太&一翔&義経&季長になっている。どうしてこうも折り合いが悪いのだろうかわたしには幾ら考えても分からない。

 お互い嫌っている訳ではないのだけれど…。


「4人共、顔面と身体能力に全ステータス振っちゃったのかしらね〜」

 わたしの隣で奈央が4人に聞こえないくらいの声で呟く。

「きっとそうだね。」

 わたしは奈央にしか聞こえない声で返事をする。


 あと忘れていたのだけれどアイツらにまだ口紅奪われっぱなしだったな。


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