本当の思い

「渋々幼なじみやってるとか何なの?」

 裕太の一言にカチンときたわたしは思わず彼を睨みつける。

「そのまんまの意味だろ、別にお前と仲良くなりたくてなった訳じゃねえし、勝手に仲良くなってしまっただけだし。」

 裕太が面倒臭そうに答える。それを奈央がさぞおかしそうな顔で聞いていた。

「仲良くしたくなかったら幼なじみなんて続かないでしょ?」

 奈央のご最もな突っ込みに彼は黙り込んでしまった。

「そうそう、明日美ちゃんが倒れたときの4人の慌てっぷりと来たら凄かったよね~」

 また奈央ちゃんが4人の耳が痛くなるような事を言ってくる。

「別に慌ててねーし、びっくりしただけだし。」

 裕太が口を尖らせながら言った。

「えっ?僕は至って冷静だったけれど?」

「「別に取り乱してなどおらぬが?」」

 一翔と義経と季長が相変わらずのポーカーフェイスで答える。

 4人の言葉を聞いた奈央は余程可笑しかったのか今にも吹き出しそうな顔をしている。

「びっくりしただけで泣きそうな顔になるのかしら?冷静な状態であんなに慌てるものかしら?取り乱してない割には「明日美殿が死んだら自分も後を追う」的な事言ってたわよね。」

 奈央ちゃんが容赦なく彼らの事を色々と暴露していく。


 どうやらわたしが意識を失った時の話らしい。

 あの時は里沙と奈央に泣きつかれるは裕太達に怒られるはで散々だったな。

 でもわたし、皆に大切にされているんだって分かって嬉しかったよ。


「でもわたし、裕太、かず兄、よっちゃん、すえ君と一緒で、幼なじみで良かったと思っているよ。」

 そんなわたしの一言に

「なんだよ気持ち悪い、いきなりそんな事言われても別に嬉しくなんかねーし。」

 照れ隠しなのだろうか裕太がやや動揺しながら言った。

「あっそう?」

「「そうか。」」


 一翔と義経、季長がそっけなくわたしに返事をする。


 いくら嬉しくないって口で言っても、そっけなくしていても4人の頬がほんのりと赤くなっているのをわたしは見逃さなかった。


 心の中では喜んでいるんだなって分かっただけでも嬉しかった。




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