それぞれの過去
懐かしい思い出パート1
やっと泣き止んでくれた美晴ちゃんを立たせて再び歩き出す。
やっぱりショックだったのかいつもならたっぷり喋ってくれる筈の美晴ちゃんは黙ったきりだ。
「そういえば避難所にいた時さ、なんで木下と藤宮にいじめられた時裕太達めっちゃ必死になっていたよね。」
わたしが沈黙を破るろうと4人に話し掛ける。
「別に必死になってねえよ。」
明らかにバツが悪そうな裕太が刺々しい口調で言う。
必死になってないって嘘ばっかり。当事者のわたしより怒っていた癖に。
「嘘ばっかり。裕太にかず兄とか逮捕覚悟であの二人を懲らしめようとしたし、よっちゃんにすえ君なんか二人をガチで殺ろうとしてたじゃん。」
「うるせえ」
裕太が口を尖らせながら答える。相変わらずのツンツンっぷり。
「だって僕たち明日美ちゃんの幼なじみじゃん?当たり前の事をしたまでだよ。」
「「当たり前だ、明日美殿は我の竹馬の友だからな。」」
珍しく一翔、義経、季長が素直になる。
4人の態度にさっきまで泣いていた美晴ちゃんが少し笑っていた。
「やっぱり山崎君達に源さん、竹崎さんと明日美ちゃんって仲良しだよね。」
美晴ちゃんの一言にいつもの調子に戻る彼ら。
「別に仲良くねえし」
「そうかな?」
「「そうか?」」
そんな4人に奈央が一言。
「相変わらず裕太は素直になれないのね。一翔に、九郎や五郎だって何考えているか分かんないし、大体無表情で幼なじみだからとか竹馬の友だからとか言われても信用できないんですけど!?」
奈央の一言に4人は整った眉を少し顰めた。
「ずっと思っていたけれど一翔君に九郎君、五郎君ってわたし達に対しては無口なのに明日美ちゃんに対しては割と喋るんだよね。」
里沙から図星を突かれたらしく3人は黙り込んでしまった。
一翔に義経、季長ってクールな癖にふとしたときに優しさを見せてくるから時々どうして良いのか分からなくなる。
裕太って普段はツンツンしがちだけれどわたしの身に何かあったら必死になってくれるし。
ずっと一緒にいるくせに正直わたしには4人の気持ちがよく分からない。
「裕太、あんた少しは素直になったら?」
奈央に言われ裕太が渋々口を開いた。
「別に俺は明日美の幼なじみを渋々やっているだけだし、明日美を助けたのは辛そうだったからで特別な意味はない。」
淡々と言い放つ様は本心からなのか本心の真逆なのかさっぱり分からない。
「そういう所が素直じゃないって言ってるのよ!!
反対言葉ばっかり喋るなんていくら顔が良くてもモテないわよ。」
口うるさく言ってくる奈央を
「うるせえ、黙れ」
と裕太は鬱陶しそうな表情で一蹴した。
このやり取りに美晴ちゃんもいつの間にか笑顔になっている。
美晴ちゃんが笑ってくれてよかった…。
それにこの辺は幸いヤツが居ないから誰かと喋っても特に問題にはならない。
このパンデミックが終わったらみんなでお花見したいな…。
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