さよなら我が家
家にヤツが侵入してしまい、家の床にはゾンビの腐った血液が飛び散っていた。
「もう、このいえには居られないわね。みんな、裏口から出るわよ。」
お母さんはそう言いながら、自分逹を裏口へと案内する。
「何処へ行くの?」
わたしがお母さんに聞くと、
「決まっているでしょ?避難所だよ。」
と言った。
「避難所が空いてなかったら私たち、行くところがないかも知れないわね。」
友里亜さんが小さな声でボソッと言った。
「行くところがなくなったら私たちどうなっちゃうのかしら?」
里沙が心配そうに言った。
「それはその時だな。」
祐太がぶっきらぼうに言った。
もうちょっと優しく言いなよ……。と思ったが面倒くさいので言わなかった。
「でもその時も考えなきゃいけないでしょ?」
奈央ちゃんが祐太逹にいい放つ。
「その時は野宿すればよいではないか。」
義経が言った。て言うか、野宿は厳しいんじゃないの?
「でも、虫とか出ちゃうでしょ?」
里沙ちゃんが虫の心配をしているが、虫とか正直どうでもいいと思ったけれど、おしとやかな女の子である里沙ちゃんと奈央ちゃんにとっては捨てがたい問題らしいのだ。
「その時はその時だ。」
義経がぽつりと言った。
「そもそも、何処で野宿すればいいの?」
奈央ちゃんが男子逹に噛みつく。
「山とかですればよいだろ?」
季長が面倒くさそうに答える。
「何か出たらどうするの?」
里沙ちゃんが疑問をぶつける。
「その時はその時だ。」
彼はいかにも面倒くさそうに言った。
すると奈央ちゃんが
「もう、どいつもその時はその時だってばっかり言っちゃって、もうどうなっても知らないんだから……。」
と囁くように言った。彼女の言う通りだ。
「おい、聞こえてるぞ。」
祐太が奈央に向けて言った。本当に愛想の悪いやつらだな。祐太や一翔はそれぞれ学校一のイケメンで、スラリとした体型に程よい身長に色の白い肌に綺麗な鼻筋にアーモンド型の目にサラサラの黒髪。
義経は細身だけど引き締まった体に色白で、すっと通った鼻筋、切れ長の目の中性的な顔立ち。
季長だってそこら辺のカッコいい男子すら圧倒する程の整った顔立ちをしている。
これで、愛想よかったらなぁ……。
昔の彼らはもっとよく笑う人だったのに……
一体性格を変えてしまう出来事が彼らの身にあったのだろうか?幼なじみである自分すらわからなかった。
私たちは裏口から出た。家の門から外に出ると、わたしは思わず、自分の家を振り替えって見てしまった。
さようなら、我が家……。今までありがとうね……。
そっと心のなかでそう呟いた。ねずみ色の壁に茶色い屋根の我が家が、去っていく自分逹を見送ってるように思えてならなかった。
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