仲直りへの一歩

 わたしって愛されてなかったのかな?……。

 あのケンカでそれを悲しいくらいに実感した。

 誰一人として頑張っても誉めてはくれない。いくら頑張っても親には「まだ頑張ったなんて言えない。」とか祐太たちには、「その程度か。」って言われるし、奈央に里沙だって「まだまだだね。」って言われるし、結局わたしは認められてないんだ。

 そして愛されてない。


 愛されてるならあんな酷いことは言わない。

 わたしは友里亜さんに全てを語った。

「なんでそう思うの?本当に貴女のことがどうでも良かったら助けないと思うけど?」

 そうかな?あんな場所で死なれたら迷惑だからなんじゃないの?初めはそう思っていた。けれど、それは間違いだった。

 私の渾身のタックルで倒れたゾンビは、再び立ち上がり、私に狙いをさだめて襲い掛かった。わたしはとっさに大鎌でヤツをわ切りつけた。

 技量は素人並みの私だけど、なんとかヤツの首は切り落とせたみたいだ。

「明日美、あなた、なんで?」

 お母さんが驚いた様子で言った。

「決まってるでしょ?大事な人だからでしょ。」

「みんな、ごめんね。助けてもらったのにあんなひどいこと言っちゃって。」

 どういうわけかすらすらと謝罪の言葉が出てくる。

 本来の自分はこんなに素直じゃないはずなのに。

「いいよ、こっちこそごめんね。」

 奈央に里沙、あなたは謝る必要ないよ……。

「俺の方こそごめんな。」

「僕の方こそごめんね。」

「すまなかった。」

「すまない、明日美殿。」

 四人まで謝ってくれる。

「いいよ、悪いのはわたしだもの。」



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