未来の女子高生友里亜
ここは2119年の日本、あたしは友里亜。みんなにとったら未来人だ。
一応進学校に通っている高校三年生。
最近、2018年にゾンビがわいて危ないというニュースが入ってきた。
滅茶苦茶とんでもないことだ。ゾンビがわいてなにも手を打たないとたった100日で人類は滅亡してしまうらしい。
つまり、2019年には、人類が滅亡してしまう計算になる。そうなるとあたしたちは存在してなかったことになる。もちろんあたしたちの時代も存在しない。
早く2018年を生きている皆を助けなきゃ!!
あたしは親がいない。何故なら親はあたしを庇って死んだ。お世話をしてくれるのは叔父さんしかいない。
それに、高校から平成時代を救いに行けと言われちゃってるし、あたしは叔父さんから大量の武器をもらって、タイムマシーンに乗って令和時代へきた。
誰か一緒に戦える人を探さなきゃ。
でもそう簡単に見つかるわけないよなぁ。
すると、向こう側に人がいるのを見つけた。あたしは勇気を振り絞って声をかける。
「あの......。ちょっとお話があるんだけど。」
お相手さんは、中学生の男女四人と、同い年くらいの男子高校生1人。
「はい?」
答えてくれたのは身長の高い女の子。すごく顔立ちが整っている。
「あたしは神山友里亜。あなたは?」
「本山明日美です。」
彼女はそう答えた。明日美ちゃんねぇ。
「あなたたちは誰?」
あたしがそう問い掛けると、
「村田里沙です。」
「杉野奈央です。」
「山崎祐太です。隣のメガネかけたのが兄の一翔です。」
みんなしっかりしてる..............。とても100年も前の人たちと接しているとは思えなかった。
「ねぇ、ゾンビが発生して、大変なことになってるよね?」
「さっきニュースで見ましたよ。」
「あのさ、その事だけどあたしに協力してもらえない?あなたたち、何か習ってる?」
「わたしはなにも習ってません。」
明日美ちゃんはなにも習ってないか。
「私と里沙が薙刀を習ってます。」
薙刀ならば一応ゾンビは倒せそうだ。
「俺は剣道習ってます。兄は弓道やっていますよ。」
「祐太と一翔君大会で優勝しまくってますよ。」
祐太君と一翔君は余裕でゾンビを倒せそうだ。
今の状態だと五人とあたしを含め、六人。これでは圧倒的に戦力不足だ。
「でも、戦力足りないよね?」
「大丈夫ですよ!!わたし達には最高戦力がいるんだから。」
「あっそうか。最高戦力がいたのか。すっかり忘れていた。」
「そうそう俺なんかあの人と比べたらチョロいくらいの。」
そんな剣道や弓道の大会優勝者よりもすごい人って一体誰なのだろうか?
「えっと、その人の名前は?」
「源義経と佐藤継信と忠信と伊勢三郎、竹崎季長。」
確かにみんなの言う通りかなりすごい戦力になるに違いない。おまけに平安時代末期とか鎌倉時代の武士だ。
幼い頃から剣術や弓の練習をしてきたものだから、腕前は現代人は叶わないレベルだろう。
「よっちゃんたちどこ行ったのかなぁ?うちの家に来てるとか?それとも祐太の家?」
「多分俺の家だと思う。」
「あっ、俺には両親が居なくて、おばあちゃんが俺らを育ててくれたんだ。でも、ずっとたった三人じゃ寂しいからって知り合いなんかをよく家に招いているんだよ。」
両親がいない........。祐太君に一翔君二人とも全然暗い過去なんてなさそうに見えたのに。
あたしと一緒だ。あたしはこれ以上何故そうなったのかは聞かなかった。
「とりあえず俺の家に行こう。」
もちろん、100年前の町なんかしらないからあたしは皆の後を歩いた。
「ここが俺の家」
着いた先は普通の一軒家。
「おばあちゃん!!」
「はいはい、」
そういって出てきたのは1人のおばあさん。
「あらぁ、明日美ちゃんに奈央ちゃんと里沙ちゃんじゃない!!ちょうど源君が来てるのよ。入って。」
最高戦力が祐太君の家に来てるらしい。でも、見ず知らずのあたしを怪しまずに入れてくれるのだろうか………………。
「あらぁ、新しいお友だち?どうぞ、入って。」
良かった。すごく優しいおばあさんだね。
あたしは一つの部屋に通された。
着いたのはちゃぶ台を置いた広い和室。そこには直垂を着たあたしより少し年上の青年がいた。この人がこの神奈川県の最高戦力。
腰には短刀、足元には太刀を置いている。
少し、いや、かなり緊張した。喧嘩なら負けている。
「あたしは、神山友里亜です!!」
緊張のせいで声は上擦っていた。どう話せば良いのか分からない。
悩んでと、明日美ちゃんが助け船を出してくれた。
「ねぇ、ちょっとお願いがあるんだけど。」
明日美ちゃんは慣れた感じで彼らに話しかけていた。
「実は、この人を助けて欲しいんだ。」
「助ける?」
「今、ゾンビが発生してしまって大変なことになってるから、一緒に戦って!!」
「ぞんび?なんだそれ?」
「そうか、忠信君たちには分からないか。死んで腐った死体が生き返って、生きている人を襲う。それがゾンビ。ゾンビに噛まれたりするとその人はゾンビになる。だから噛まれないようにしないと。あと、ゾンビはただ斬りつけるんじゃなくて、頭を切り落とさないと、死なない。」
「明日美ちゃん結構意外だね。」
一翔君が言う。
「ゾンビ物に詳しいって分かったらまたからかわれるから言わなかっただけ。」
明日美ちゃんがツンっと返す。
「恩賞は?」
季長さんが言う。恩賞ねぇ・・・・。
「うちのところで採れた米をあげるよ。」
明日美ちゃんが軽々しい口調で言うが、米はそんな大量に買えるようなものじゃないはず。
「大丈夫ですよ。うち、農家ですから。米は大量に備蓄してます。ゾンビパニックの中でも食料には困りませんよ?」
明日美ちゃんは何気に凄いのかもしれない。
「すごくないですよ。此処にいる男子全員にからかわれてますから。」
「いや、それはお前が面白いから。」
まだ出会ったばっかりだから明日美ちゃんがどんな人なのかあまり分からないから今はまだなんとも言えない。
「でも、ゾンビが倒せなかったらどうしよう?」
「大丈夫よ。あなたにはとっておきの武器をあげる。」
あたしは、折りたたみ式の大鎌を持ってきた。誰でも振り回せるような設計で、大した力も要らない。
一緒に戦える相手は見つかったし、あたしらのチームは最強だ。
「その大鎌で、戦ってね。」
「うん。」
明日美ちゃんはどこか不安そうだった。これから厳しいかもしれないけど、きっとあたしらのチームは負けない。
また元の時代に戻って残りの高校生活を楽しみたい。
あたしは、同じく、2022年に派遣された同級生の無事を祈った。
でも、この先残酷な運命と悲劇が待ち受けるとは誰1人知らないのであった。
まるで、悪夢が始まったかのように、空色は暗く沈んでいった。
同時に横浜は生きている者の生き血と新鮮な肉と脳ミソを求めて、ゾンビ達が必死に腐敗した体を動かして、苦しそうなうめき声をあげながらさ迷い歩いていた。
町に充満する腐敗臭と、あの賑わいが嘘のように静まり返った町に響くのはゾンビ達の不規則な呼吸音だけだった。
そして、
「うわぁぁぁ。」
誰かの悲鳴が響いた。ゾンビ達が悲鳴のしたところに一斉に群がる。
次に聞こえてきたのはゾンビが人を生きたままかじる音だった。
そして、やつらによって1人の命が奪われた。悪夢は始まったのだ。
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