第2話Lost Christmas

 21ZZ年12月25日。

00:00 America New York City

 空は、今にも雪が降りだしそうな曇天。今年のクリスマスはWhite Christmasになるかもしれないと、街中の子どもがプレゼントと共に期待して眠りに着こうとしている。

 街並みは赤と緑に包まれ、恋人たちがディナーを楽しんでいる。中にはプロポーズをする者までいる。

 誰もが明日を疑っていなかった。

01:00 America Washington, D.C. ホテルの一室。

「今日起こることは、始まりでしかないわ。でも、始まりが大切なの。」

 カーリーは嬉しそうに話す。これから起こることを知っている私は時計の針が進む度、不安と緊張で吐き気が止まらなかった。

「私は世界に“死”が尊いものだと再認識してもらいたいの。そのためには手段は選ばないわ。」

 手段…彼女のいう手段は本当に手段を選んでいない。常人なら思いついても絶対に決行しないようなことをしてしまう。彼女にとって、この計画は一種の遊びなのかもしれない。

「さあ、世界に悲劇という名のプレゼントを送りましょう。」

07:00 America New York City

 バケツをひっくり返したような黒い雨が降り注いでいる。

 街並みは紅色に包まれ、悲劇に暮れていた。

07:00 China Beijing

 上空に一つの悪魔が到達しようとしていた。空を見つめ、人々は絶望している者、『Elysium』に自分を書き込みに病院へ駆け込む者。街全体が混乱していた。


 アメリカ、中国の他にロシア、オーストラリア、イギリスの計5ヵ国に原子爆弾が投下され、世界に激震が走った。後にこの悲劇の事件を、失われたクリスマス“Lost Christmas”と呼ばれ、永遠に人類史に残ることとなった。同時に、これがカーリー・メイというでもあった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Elysium//program world project 祭 仁 @project0805

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ