第七話 予想不可能

場所は変わってマスタールーム。

俺は今椅子に座っている。目の前にはギルドマスターが座っており、なんかニコニコしている。正直何考えてるんだか予想不可能だ。

すると白衣の男が部屋に入ってきて、飲み物を渡してくれる。

容器はなぜかジョッキで中には鮮やかなオレンジ色の液体が入っている。

匂い的にジュースだろう。チラっとギルマスの方を見るとカップで紅茶らしきものを優雅に飲んでいる。なんか体格のせいかティーカップがおもちゃに見える。

てか、渡すの逆じゃない?

じっと見ているとこちらの視線に気づいたギルマスがジュースを飲むように勧めてきた。オレンジジュースって苦手なんだよな。気が進まないがせっかくの好意だ。受け取らなければ失礼に値するだろう。

ちびっと飲んでみるとオレンジっぽさはなく、俺の好きなリンゴジュースの味がした。あまりのおいしさに感動してぐびぐび飲んでしまったが、途中で息が続かなくなり飲むのをやめた。結構飲んだつもりだったが半分はまだ残っている。

その様子を見たギルマスと白衣の男は笑っていた。何か笑う要素があっただろうか。

不思議そうにしているとギルマスが口を開いた。

「いや、すまない。あまりに必死に飲んでいるものだからつい笑ってしまったよ。そのジュース、気に入ったかい?」

「はい!このリンゴのジュースすごくおいしいですね!」

あまりにもおいしかったせいか身を乗り出して答えてしまった。

リンゴというワードを聞いたギルマスと白衣の男の雰囲気が変わった。

なんかまずいことでも言ってしまったのだろうか。

そういえばこの世界にリンゴってあるのか?急いで調べるとなかった。

成分的に似ているものだとルンガらしい。凄い訛っているように聞こえる。

「単刀直入に聞くが、君は召喚者か何かかな?」

すごい。ばれた。でもリンゴという単語で反応したということは他の召喚者と接触した可能性があるという事だ。

会ってみたいのはあるが、戦いになりたくはないしそれについて聞くのはやめておこう。此処は素直に返事しとこう。

「はい。わたしはいかにも召喚者であります。」

「帝国の勇者か?」

「ん?帝国?なんですかそれ」

「帝国を知らないのか。まあいい。君はいったい誰に召喚された?」

「神様です」

「それは真か」

「はい。本当です」

「冒険者になるつもりは?」

「ちょうど今日登録しに来たんですよ」

「なら、今すぐ登録しよう」

「急ぐ必要はないと思うのですが」

「近いうちに帝国がこちらに戦争を仕掛けてきそうなんだ。だから登録という名のもとに保護する」

「というと?」

「登録後、君には隣の大国のダギダス公国のダギダス国立学院で学生生活を送ってもらう。そこが一番安全だからな。君が戻ってくる頃には戦争は終わっているはずだ。

その頃にはもうここは焼け野原かもしれないが、どうかこの国を立て直してくれないだろうか」

「その話、お受けしますが王様にその話は通したのですか?」

「ああ。その件については大丈夫だ」

「何故なら俺がハイセン王国28代目国王フラミニス・ハイセンだからな」

「王様が何故ギルドマスターを?」

「実力が一番あるからだ。話を戻すが、君を俺の養子にしようと思っている。どうだろうか」

「王様が思ったような国ができるとは限りませんが尽力いたしましょう。既に私が男だとばれているようですし」

「安心しろ鑑定が使えるのは世界で俺だけだ。して名は?」

「リソウです」

「そうか。よし、ではリソウよ。お主にハイセン王族家の家名を授けよう。今からお主はライハーズ家初代当主リソウ・ライハーズだ」

「あの、何故ライハーズなのですか?」

「ハイセンだと縁起が悪かろう。だから、この国の初代王の家名にしたのだ」

「初代王の家名はハイセンではないんですか?」

「詳しくは国を作る前の家名だな。とにかく、後のことは任せたぞ我が息子よ」

「承知致しました。」


こうしていきなり王家の仲間入りをしたのだった。

話が急展開過ぎる。流れに身を任せて引き受けたが、これは大変なことになりそうだ。

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