第2話 転落(笑)

声がした方へ視線を向けてみるとそこには背中から純白の羽が生えた銀髪の美少女が微笑みながら佇んでいた。

まるで女神のようだ。


「私が女神だとよくわかりましたね。たいていの人間は天使と間違えるのですが」


銀髪美少女は本当に女神だった。

体から発せられているキラキラしたものがこちらに流れてきて少し鬱陶しい反面、こんなにも愛らしい女神さまに会えてうれしかった。

(。´・ω・)ん?女神?もしかしてだけど俺死んだ?


「大正解です!」


何故だ、なんかまずいことでもしたかな?

健康なはずだしベッドで寝ていていきなり死ぬなんてあり得ない。

ふと女神さまの顔を見てみると、なんかニヤついている気がした。


「ヒントは転落です♪」


ヒントが穏やかではないな。

しかし、この女神さっきからテンション高めだな。

にしても転落か。ベッドから落ちたとしてもすぐに死ぬのか?頭から行かない限りは大丈夫なはずだが。

でも現状死んでるわけだし頭から行ったのだろう。


「またもや正解!お見事です♪」


まぁ、それはどうでもいいとして何故ここにいるかって話だ。

これがもしラノベとかならチートをもらって転生の流れだろうが俺が今いるのは現実だ。期待しても願い通りの結果にはならないだろう。

さっき言っていた”大抵の人間”というところが少し気になるがな。

さぁ、女神様。ご用件をどうぞ?


「はいっ!実は利蒼さんに頼みたいことが一つあるのですよ。ちゃんと見返りも用意するのでそこらへんはお気になさらずです♪」


見返りのことも含めて詳しくお願いします。


「頼みというのはですね、ある”世界”の管理をお願いしたいのです。その世界は地球で言う異世界の一つで魔法や多様な種族が存在しています。管理というのはですね、簡単に言うと破滅しないように監視するということです。」


監視するだけなのか?


「あまりにもひどい様子でしたら武力介入しても構いません。というかやり方はお任せします。」


武力介入は分かったがそれをする力がないのだが。


「ご安心ください♪ちゃんと力のもととなるものはご用意しています。最初から完成された力を与えられないのが心残りなのですが。」


チート能力か。

レベル1からスタートで間違いないな?

それと、チートの内容は?


「通常であれば神に値しない程度の能力なのですが、今回は世界を任せることにするので種族の変更と神が使う能力の上位のものを授けたいと思います。」


種族か、あまりピンとこないがそれが神とかに変更されるのか?


「神ではないのですが、”神人”という種族に変更されます。基本的には今の性別のままですが、わたしが授ける”創造”の力を使えば性別や見た目変更なんぞちょちょいのちょいです。創造はどんな力やモノでも作り出せます。故に利蒼さんはこの世界の創造神となります。」


かみびと…そうぞう…うん。いい響きだ。

しかしながらチートとはいえこんな能力もらってもいいのだろうか。

下手すると俺が無茶するかもしれないのに?


「別に無茶してもらっても構いません。あんな世界わたしにとってはどうでもいいので。神なんてそっちのけで精霊精霊と、まったく誰のおかげでそこまで繁栄できたと…」


どうでもいいけど保存はしておきたいとはねぇ。

慈悲深い神様に見てもらっていたこの世界は幸せだな(笑)


「と、いうわけで早速利蒼さんには異世界へ跳んでいただきます。私に会いに来たかったら此処の空間を思い浮かべてください。ではまたの機会に会いましょう。」


え、ちょ、まだ聞きたいことがあるのに。

やばい、また意識がもうろうとしてきた。

そして俺は耐えられずに意識を手放した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る