閑話クリぼっちの一日前編
※この話はストーリーには全くというほど無関係とは言い切れませんが、物語の主軸に関わらせる話にするつもりはありません。
中学校三年生のクリスマスイブ、それは受験も迫る中、彼女との最後の思い出を育む刺激的な日。
とか言ってるやつ全員ぶち殺す。
なーにが中学生最後のクリスマスだね♡だ。お前ら後八十年近くクリスマス迎えるのに何ふざけたこと抜かしてんだよ。大体中学生の分際でクリスマスを謳歌しようと考えるな、あれは大人達が夏までに切磋琢磨磨き上げてきたけど、冬になって少し綻びが出てきた肉体で互いに暖めあう日なんだよ、お金が飛び交う日なんだよ中学生が口出しすんな!
クリスマスが冬休みの最中ともあり、朝早くから起きて特にクリスマスに何もされてないが不快な気持ちになってる。
まあ、クリスマスが来ると必ずクリスマスイベントが来るからな。それはクリスマスの恩恵を感じる。
あとはクリスマスプレゼントだな。今年も楽しみだぜ。親から貰うiTu〇esカードうめぇ。俺も将来子供にはiT〇nesカードあげよ。
S&F《ソード&ファンタジー》の今回のクリスマスイベントは、クリスマスコスチュームはもちろんのこと、限定モンスターの登場だ。
俺はランク戦を主にやっているので熟練のモン狩り(モンスターと主に戦うプレイヤー)にはかなわないし武器やレベルも低い。それでもモンスターと戦うのを楽しんでないわけではない。
今日はモチモチさんと協力狩りの予定だ。昼からだが、朝早くから起きてゲームをするのは当たり前、これが冬休みの特権。
なんでだろうなぁ、冬休みとか長期休暇に限って早起きが楽なの。不思議だなー。
「ふわぁあ」
そうは言っても、やはり眠いものは眠い。でもゲームたのすぃ!
少し目を覚ますために朝シャンでもするかー。
スマホの充電が少なくなってきたので充電する。
眠気覚ましにシャワーを浴びるために部屋のドアを開けると、丁度妹である雪羽とばったり出くわした。
「おお、雪羽おはよう」
「おはようございますお兄ちゃん。朝からゲームです?」
「もちろん。雪羽もクリスマスの日をお兄ちゃんとゲームで過ごすか!?」
美少女な妹と過ごす甘々クリスマス、悪くない。
「雪羽は今日は休みなので、お兄ちゃんと遊びます!」
え、えええ!?クリスマスを兄のために浪費するというのか!?
「正気か雪羽?」
「お兄ちゃんから聞いておいて何言ってるんですか・・・・・・」
いや、美少女の妹がクリスマスイブに彼氏と外に出ないなんて俺は信じられないんだよ。
「出かける予定は?」
「ないですねー。明日もないです」
「クリスマスもない・・・・・・だと!?」
「ないものはないです。クリスマスに外に出るのは疲れます。人多いですし、何よりお兄ちゃんが家にいるんですから家にいても暇じゃありません!」
「俺は年中無休で家にいるぞ」
家から出るのが珍しいどころか一年で数えるレベル。遊びに行く友達いないし買い物はほとんどネット、すんばらしぃ!
「ですから、お兄ちゃんとゲームします!」
「おおそうか。ならちょっと待っててくれ。今からシャワー浴びてくるから。雪羽も一緒に入るか?」
「お、お、お、お兄ちゃん!?冗談でも言っていいことと悪いことがあります!家族の間にもセクハラは存在しますよ!?」
「からかっただけだよ」
「きもいです」
何それ、素直に傷ついた。
照れてるのかと思いきや普通に嫌われてるやん。
「悪い、できれば朝ごはん用意してくれると嬉しいんだがお願いできるー?」
「もちろんです!パンですか?ご飯ですか?」
この時間でご飯も候補に入れるってことは昨日の残りのご飯かな。俺冷や飯嫌いなんだよなぁ。レンジでチンしてもなんか嫌い。
「パンでー」
「わかりました!任せてください!」
シャワーから上がると、テーブルにはベーコンエッグ、食パン、ホットなカフェオレが置いてあった。
「冷蔵庫にあんまりなかったのでこれしかできませんでした」
しゅん、とうなだれている雪羽だが、何をうなだれているか俺にはいまいち理解できない。
「作ってくれただけ嬉しいしありがたい。さぁ食うぞー」
両親が起きる前にご飯ができたので、二人で食べる。まあ二人分しかなかったんだけど。
「・・・・・・はい!いただきます!」
「いただきますー」
食パンは焼いてもらってない。俺は食パンを焼かれるのが好きじゃないのだ。
焼いてない食パンの上にイチゴジャムをふんだんに塗りたくる。
「お兄ちゃんはやっぱり今日も一日中家にいるんですか?」
「まあそのつもりー」
「そうですか!なら一日中ゲームを一緒にできますね!」
あーどーしよ。昼からモチモチさんと協力狩りあるんだよな。ここは正直に言った方がいいかもしれない。
「あのさ、昼からフレンドの人とゲームするから、その時間はちょっとできないかもしれない」
なんか誘われることがまず少ないのに大切な妹の誘いを断るのに気が引ける。牧原みたいなイケメンの誘いだと一秒で断れるのだが。
「そうですか!わかりました、なら隣で見てますね!」
「お、おお。それ結構雪羽するけど、面白いか?」
俺はゲームを隣で眺めるのはあまり面白いと思わない。こう、プレイヤースキルが素晴らしい場面を見ると興奮はするが、雪羽にはそういうのわからないと思うし。
「大丈夫です!楽しいです!」
そんな笑顔で言えるなら、多分楽しいのだろう。
ご飯を食べ終え、妹とゲームの時間になった。
やるゲームは大乱闘だ。何ブラザーズかは言わないでおく。
「妹よ、兄がゲームガチ勢なのは知っているな?」
「も、もちろんです!」
「なら、手加減は軽くしかできないぞ?」
「ひ、ひどい!お兄ちゃんゲーム上手いじゃん!手加減ぐらいしてよ!」
「やる前から戦意喪失か?大したことないなー妹」
俺の得意なことはゲームしかないのでこういう時にしか調子に乗れない。
「お兄ちゃんは何を使うんですかー?」
このゲーム発売当初に買ったはいいものの、全然やってないんだよなー。一応キャラは解放したけど吹っ飛ばしやすいキャラでもくもくと殴り続けたからなー。前作で最強だったベヨさんでいくか。
「俺こいつ使うわー」
「じゃあ僕この子!」
「へーイカ娘ですか」
この子、迷いなくこいつを選んだな。最新版の大乱闘やったことあったっけ?
「はい!大好きなんで!」
スプラは俺持ってないんだけどなー。可愛い感じなのが好きなのか?
まあいい、ここで兄の威厳ってやつを見せてやりますか。
「・・・・・・」
「くらえボム!やったー!倒したー!」
「・・・・・・」
何この子、めちゃくちゃ強いんだけど!?
え、てかベヨさん弱くなーい?全然相手飛ばせないんだけどー、コンボ決めれないってなにごと?これあれだよね、俺のPSの問題のかのレベルじゃないよね?弱体化ってやつよねー?
しかも雪羽強くなーい?俺ちょっと余裕ぶっこいてたー。何、イカ娘強すぎない!?しかも動きキレキレだったんだけど!?
「お兄ちゃん、どうです!?僕強いです!?」
「あ、ああ。まあまあかな」
「負け惜しみですね!」
「お前ぇ!次はボコす!」
と言っても俺前作で使ってたのあとミュ〇ツーだけなんだよなぁ。こいつも弱体化されてたら嫌だなー。
「あれ、お兄ちゃんのミュ〇ツー久しぶりですー。久しぶりで大丈夫です?」
「ほざけ、今にボコしてやるからよ」
ゲームが開始する。互いにチマチマ攻撃を当て合うが、中々二人共攻撃を避けるので試合が少し長くなってきている。時間無制限にしておいてよかった。
「お、お兄ちゃんが強いです、あ、やめて!やぁああああ!」
得意技である復帰阻止が見事に決まった。気持ちよすぎる。
こいつは弱くなってないな。相変わらず強いぜ。
「それよりお前、イカ娘に慣れすぎじゃないか?お前もしかしてやってた?」
「うっ」
こいつ、俺に隠れてやっていたのか。
確かにゲームはリビングに置きっぱなしであったが、まさか俺が全然気づかないとは。
「や、やってましたよ!ガチ部屋とか行ってますし!今日こそはお兄ちゃんに勝つためとたくさん修行を積みましたからね!?」
「あ、おいローラーで埋めんな!死んだー」
「まだ舞えます!」
「お前落としてやる!」
二十戦して十二勝八敗でなんとか兄の威厳を保てた。
「ううう、おかしいです。スペシャルは僕の方がやりこんでいるはずなのに」
「年季が違うよ年季が。昔からやってる俺の方がゲーム的な慣れがあるからな」
「次は負けませんから!」
「俺もちょっとはやっておこっかなー」
ふとリビングにおいてある時計を見てみると、十二時近くになっていた。
あ、やばいそろそろモチモチさんとのゲームの時間だ。
「俺フレンドとゲームしてくるわー」
「僕は見たいですけど、昼ご飯作ります。十二時半に一度リビングに来てくれるといいです」
「わかったー」
俺は部屋に戻って充電していたスマホを手に取り、S&Fにログインする。
「お、モチモチさんもうログインしてる」
早いなぁ。クリスマスイベントが楽しみなのだろう。俺もかなり楽しみだからな。
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