第8話プレイヤーキラー
超強いカンガルーかと思いきや、普通に大したことなかった。
速いジャンプとか出る前に倒してしまった。やっぱり先手必勝だな。やられる前にやるのが戦いの基本ってことだ。
他にも周りにマックスカンガルーがいる。狩ってしまおうか?魔力にも余裕があるし、何より運動不足な気がする。
「なぁエマちゃん、クエストって何体カンガルーを倒せばいいんだ?」
数体ぐらいならいいが、これで100体とかなら流石にシャレにならない。
「一体で充分ですが、倒してしまってもいいですよ?」
「それで報酬とか増えるのか?あれ、そういえば報酬はなんだ?」
報酬を全く考えずにクエストを受けてしまった。クエストといえば報酬が必ず存在する。
「報酬は増えないですね。報酬はランダムアイテムです。当たり外れのあるアイテムです。そうですね、主に回復薬とか、一時的にステータスを上昇させるバフ薬とかが多いです」
剣とか欲しかった。というより扱ってみたい。ゲームでは剣を使っているし。
自分のステータスを見た時、なんとなく俺の使っているキャラに寄っている気がした。それは多分間違いない。だからゲームで剣を使っている俺は剣の才能があるんじゃないかとふんでいる。
「なぁ、武器とかってあるのか?」
「もちろんありますよ!クエスト報酬はさっきのランダムアイテムの他にこのゲームで使えるお金が貰えます。それで買うこともできますし、鍛冶屋も存在します。腕のいい鍛冶屋に頼めば売られている武器より何倍も優れた武器を手に入れることも可能ですから、検討してみてください」
どの社会でも人との繋がりが大切だと言わんばかりのシステムだ。まあゲームでは鍛冶屋も存在するし仕方ないか。
はぁ、人間関係を考えると非常に憂鬱になるな。
まあなんにせよ、倒して報酬が増えないなら倒さない。
「じゃあ今日は帰るわ」
「倒さないんですか?」
「倒しても何も手に入らないなら無駄な気がしてね」
「確かに報酬はありませんが経験値にはなります。さっきのカンガルー戦でクエストクリアボーナスとカンガルーを倒した経験値でカケルさんはレベル2になりましたよ!」
レベル2になった?え、音とかなってないし強くなった気もしないんだが。
「本当に強くなっているのか?」
「はい!能力値も貰うことができていますよ!」
俺は気になってスマホで今の自分のステータスを見ようとしたが、周りにカンガルーがいることを忘れていた。
「このカンガルー達は全部倒していいんだよな?」
「はい、ぜひ経験値にしちゃって下さい」
では俺のぼっち無双の糧にしてやろう。
ものの数分で近くにいたマックスカンガルーを倒した。
「こいつら倒してレベルアップはしたか?」
「いえ、レベルは上がっていません」
なーんだ、さっきのレベルアップは初心者用なのか?レベル2だけにはなりやすい的なやつか。
「そっか、こいつらの剥ぎ取り的なのは、存在しないようだな」
S&Fでもそのような機能は存在しなかった。
倒したカンガルー達は数秒してすぐに魔力に変わって消えていく。それを吸収できないかと思って色々試したが、何もできなかった。
「まあ帰ってステータスでも弄るかな」
「そうですね、それがいいと思います!」
エマちゃんも賛成しているようだし、俺は帰る準備を始めることにした。
元の地球に帰るには、先ほどこの裏世界に来たような手順を踏めばいい。
俺はスマホに手を伸ばして電話を押す。
「っ!?」
押そうとしたが、後ろから高速で近づいてくる何かに気づき、とっさに地面と平行になるように避けた。
頭上を黒い人間が通り過ぎたのだ。
瞬時に立ち、立て直すために距離を取る。その間に魔弾を相手に当てる。
距離を取った後に相手を見てみるが特にダメージを受けている素振りはない。
「これはこれは、ちょっと厳しくないか?」
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