第二話

「...どうして? 」


・・・生気の抜けた返事が来るな。 こっちを見てないのか


「だってお前ら以外、犯人がいないだろ 」


「...わかった 」


...む、表情に変化がない

気になって続ける。


「それはどっちの話だ 」


「...どっち? 」


分かって無いのか...?


「...自白を認めたという『わかった』なのか、俺が犯人と扱った理由が『わかった』のか、だ 」


もちろん俺は前者を期待していた、が、


「...後の方 」


「...そうか 」


・・・めんどくせぇぇぇぇぇェェエエエエ!!

コイツ、根本的に話を聞いてない!

...少し、落ち着こうか。


「ガブリエルが死んだことは聞いてるか 」


「...はい 」


「じゃあお前個人は、誰が殺したと思う? 」


「......んん 」


おっと、このタイミングか。


「待て、ここで黙られたなら、黙秘したことにする 」


よし、言えた。


「...え 」


キョトンとする少女。

もうちょっといけるか。


「言っただろ、これは取引だ。お前の発言は宮永に少なからず影響が残る。

お前は罪人だ。忘れるなよ 」


ようやくこっちを認識した様に、青ざめる祈本。

ぁあ、どうしようも無いその表情

いいなぁ、それが見たかった。

...む、美桜乃が怒ってる。

おいそこ、変態とか言うな。楽しまなくちゃ損だろ。


「...どうしろって、言うの? 」


「俺の話ではない。自分で考えろ 」


・・・ぁあ、ミスったか。俺自ら考える時間を与えてしまった。ならばこれは、黙秘では無くなる。

仕方ない、区切る必要があるか。


「美桜乃 」


「何 」



「宮永の尋問に移る 案内してくれ。祈本は戻ってくるまでが時間(リミット)だから、忘れるな 」


「...わかった 」


どちらにせよ、こっちは直ぐにでも終わるだろう。 面倒な宮永から先にするか。




「・・・んで宮永、お前がやったのか 」


「何をしたと、思われているのかな 」


うご、


「・・・ぁあ、」


なんというか、先の事もあって、罪悪感が半端ない

俺にとって、第一印象が『無害』だった男。そんな奴を責めいるのは、少しキツいか。

それよりも、威圧感が凄い。

無言の重圧。

あっちの会話、バレてないか...?


「宮永君には、バッサリ言わないんですか? 」


「・・・いや、勿論やる 」


さっきのやり方に反感でもあったのだろうか。いや、褒められた手段では無いか。

少し落ち着ける



「ガヴリエルを殺したのは、お前だな 」


「...いや、そうか。今、取引が行われているのかな 」


「ぁあ、自白するなら、お前にはメリットしか無い 」


自白させたい俺達に、一番都合がいいが。

例えば、宮永だけが黙秘する場合だと、元々懲役5年だったのが、10年に伸び、被害が大きくなる。しかし、自白するならば、懲役5年のままか、祈本が黙秘して宮永は釈放。

・・・ただし、


(量刑に拘らない場合を除く、か )


当てはまるのは、この宮永古白だろうか。こちらが要求する物を、私情とか無視して平気で捨ててくる。

簡単に言えば、思い出の品をあっさりゴミ箱に捨てられるタイプの人間だと。


「だが、お前が殺したのは明白だ。罪を償え、宮永 」


「...うん、今はまだ、黙秘権を行使する 」


・・・こいつ !!


「・・・俺は今、祈本を尋問してきた所だが 」


「分かってる 」


「・・・そうか 」


席を立つ

時間切れだ


「美桜乃、祈本の所に戻るぞ 」


「わかりました 」


「宮永、また来る 」


「うん、わかった 」

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盤外の許し @akuserareita

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