盤外の許し
@akuserareita
役割=能力みたいな
俺は城水秋夜。
巷の話題では、ナウでヤングでガヴリエル様がいなくなった話題で騒がしい。
というか五月蝿い。委員会関係で耳に入ってきた情報だが、俺が風紀委員長という事もあって女子の質問が多い。
委員長とは言っても、する事なんて基本手荷物検査くらいだ。
それも、猿筋から手に入れたアイテム『サイコメトラー』のおかげで、人員を増やす必要も無く(そのせいで二人しか居ないが)とても暇。
ガヴリエル様の本名は『天野 悟』、役割「ガヴリエル」。崖の下から無惨な死体となって発見。
証言者から、容疑者どちらもてめぇのクラスメイトだから学校独自の制裁を加えろとのお達しだった。
証言者が何故そんな事を?お前は変なことを聞くのか。
・・・ぁあ、証言者の台詞じゃなかった。これは裁判所の意見だったか。
しかし、何故風紀委員なのか?
担当は有事司法管理会だったはずだろう、と聞いても返事がない。全く、
「・・・おかしいだろ。」
関係ない仕事に、役割関係の面倒臭い事件。証拠なし。それを俺がやるとか、問題外。
イライラする。
少なくとも、ストレスは必ずぶつけてやろうと、意気込んだその時、「失礼します。」の声と共に、ドアを開ける音が聞こえた。
さて、どんなヤツだ。
「祈本亜衣、3年X組、出席番号12番。性別女性。性格はやや大人しめ。役割は指標。容疑者を崖近くまで誘導し、殺すに至ったと思われます。」
祈本・・・?なんでそんな奴が。
「待てよ、お前美桜乃だろ、クラス委員長の。なんでいるんだ。」
「報告役、且つ中立という名の「二対一の構図」を作れって言われましたので、どんどんと犯人を追い詰めて行きたいと思います。」
「わかった。ならさっさと呼んでくれ。」
「祈本さーん。入ってください。」
「・・・はい。」
来たか。しかし、目が死んでるな。どうしたのか。
「祈本亜衣、言っとくが、この尋問所では、嘘はつけない。」
「いえ、先程彼女の相方がそのシステムを壊した報告を受けました。」
「・・・!!」
・・・なんと。それは・・・公務執行妨害だろう。いや、公務員では無いのか。しかし、それは良いのか・・?
「・・・何があったと言われている?」
「向こうを取り調べていたその二年生が、『正直、嘘発見器より心を見た方が早いよね!』と証言した後に、激しく痙攣した後に訳の分からない事を叫び続けたので、倒れました。ついでに、そのシステムも壊れてました。」
「・・・その容疑者の名前は?」
「宮永古白、3年X組、出席番号34番。性別男。影が薄い。役割は不明。誘導されたガブさんを突き落とした張本人です。」
・・・こっちは人員が二人しかいないんだが...!?
しかしチャンスだ。即座に行動を移す。
「自白させるなら簡単だが、いや、誠に残念だが一人いなくなった。本当に残念だ。これでは本来予定した段取りが崩れてしまうな。...よって、別の部署に回していいか?」
「前回より被害が少ないから不可能です。」
・・・冷たい宣告だ。しかも有事管理会のヤツら全滅したのか。
「・・・何故それを美桜乃は知っている。」
「有司の方はどういう意図か、『確認を手伝ってくれないかな?』と仰ったので一緒に確認したら、いきなり窓から飛び出し、阿鼻叫喚の地獄に。私はあくまで中立として、その証言者になりました。
それもあって、2年生には間に合いませんでしたけど。」
・・・なんでコイツは平気なんだろう。
思わず顔を覆う。
「それで、宮永古...宮永君ですけど、隣の部屋に待機してもらっているので、交互に尋問してもらいます。」
「司法取引か。」
「はい。自白が今回メインとなります。」
「ちなみに『サイコメトラー』故障の原因は、なんだ。」
「えっと、単に使いすぎの様です。容量が少なすぎたとか。」
「・・・欠陥品か。」
確か神無月から借りたやつだった気がするが。...まあいい。
ぁあ、と前置きして意識を切り替える。
祈本に向き合い、続ける。
「お前が悪いことしたのはわかっている。
しかし、情報が不確かだ。自白したら、罪は軽くすることを、司法取引として持ちかけよう。しかし、黙秘してもう片方が自白した場合は、自白した片方を許し、もう片方の罰を増やすことにする。
いいか?
では、始めよう。」
「・・・はい。」
「お前がやったんだろ。早く自白しろよ。」
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