13話「水着」

 私は今とても迷っている。

 赤の水玉模様の水着か、それともひまわりのイラストが描かれた水着か。

 …両方ともビキニだ。

 というよりも、このお腹。

 決していいスタイルとは言えないこのお腹。

 私は鏡に映った自分の姿を見ていた。

 どうするべきだろうか。

 

 ついこの前、8月が始まった日。

 「海行きたい」

 勇気君が突然私に言ってきた。

 勇気君が考えに考えた結果なのか、それともただの思い付きなのかは分からないけど、私は嬉しかった。

 ただ一つ、問題があった。

 水着が無かった。

 スクール水着しか無かった。

 流石にスクール水着はキツイものがある

 

 だからこうして、水着を見ている。

 ただ、ファッションに関しては私より真波の方が分かっている。

 「いいから取り敢えず着てみなよ」

 更衣室の外から、真波が言う。

 取り敢えず着てみよう。

 

 まずは水玉模様の方を。

 ファッションについてはそこまで詳しくはないが、悪くない。

 だけど、地味過ぎる。

 やけに目立つよりはいいが、これほどでは無い。

 

 一旦脱ぎ、ひまわりのイラストが描かれた方を着る。

 これ。

 そこまで目立つことはないが、地味過ぎることもない。

 「どう?」

 ドアの向こうの真波が聞いてくる。

 私はドアを開け、それに答える。

 「じゃーん」

 「うん。似合ってるよ」

 「お腹とか大丈夫?」

 「大丈夫だよ。芽依、自分が思ってるよりスタイルいいから」

 「でも、これはちょっと…」

 胸の露出度というか、全体の露出度があがるのは……少し恥ずかし気もする。

 「大丈夫大丈夫」

 そう言われ、私はそのひまわりのイラストが描かれた水着を買う。

 

 ところで、勇気君はこうゆうのに興味があるのだろうか。

 まあ、それは、それとして、ね。

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