9話「雨のカーテン」

 あれから1ヶ月が経とうとしていた。

 僕と芽依お姉ちゃんの関係は良好だ。

 ただ、恥ずかしくて、外で手は繋げない。

 

 僕は教室で外を見ていた。

 昨日梅雨入りしたらしく、今日は雨だ。

 サッカーはできなさそうだ。

 

 「おっはー」

 「おはよう。智也。翔平」

 「ああ、おはよう」

 「サッカーは今日はなしだね」

 「そうだな、残念だ」

 

 雨の日は、1つ悲しいことがある。

 それはサッカーができないという事じゃない。

 芽依お姉ちゃんが僕の部屋に来ないという事だ。

 これまではそうでも無かった。

 しかし、今ではもう、それが辛く感じる。

 

 今日は退屈な1日になる。

 そして時間が過ぎていく。

 いつの間にかに、休み時間になり、昼休みになり、帰る時間になる。

 

 部屋で仕方なくゲーム機の電源を付ける。

 今でテレビを見るのも1つの手だ。

 だけど、心の中で、薄い期待をしているのかもしれない。

 窓を開けて、顔を見せてくれるかもしれない。

 おかげで僕は、画面を見るより、窓の先を見ていた時間の方が長かった気がする。

 

 ゲームを始めてからどれくらい経ったのだろうか。

 ゲームをするのは楽しいけども、今日は、時間が経つのが長く感じた。

 時計を見る。

 20分経った。

 まだそれだけしか経ってないのか。

 僕は窓をちらりと見て、ゲームを進めた。

 

 10分後、僕はもう一度同じ行動をする。

 

 その後も、何度も、何度も。

 そしてその何度目かの時、僕はたまらず窓を開けた。

 芽依お姉ちゃんの部屋のカーテンは空いている。

 だけど部屋は暗かった。

 家族と居るのだろう。

 そうゆうこともある。

 

 僕は諦めることにした。

 雨は止む、明日は晴れだろうか。

 僕は、そう思いながら眠りに落ちた。

 

 雨のカーテンは分厚い。

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