8話「酒と上司」

 11月の下旬から、めっきり寒くなった。

 その中歩く私は、家と駅が恋しくなっていた。

 12月に入り、そんな寒さとは関係なく、世間は忘年会シーズンに入っていた。

 

 「乾杯!」の合図とともに飲み始める。

 手にはビールジョッキ。

 だが、おいそれと酔うわけにはいかない。

 上司は30に満たないOLと、やたら酒を勧めたがる人たちに囲まれている。

 しかし、何がこちらに降り掛かってくるかは分からない。

 私はビールを一口づつ飲むのだった。

 そしてそれは俊も同じだった。

 私達は2人で、あの面倒くさい上司に目をつけられないよう、他愛もない話でもするのだった。

 

 2時間後、私達はやっと安心することが出来た。

 会費1人3千円を支払い、私と俊は店を出た。

 「あー、終わった。」

 ビールジョッキ小を1カップ飲み、腹の中にも余裕があった。

 「どうだ?明日も休みだし、このまま二次会行くか?」

 物足りない私達は、別の居酒屋に入った。

 

 そこで私達は目を丸くした。

 そこには会社の社長が、熱燗を飲みながら、そこの店主と話をしていたからだ。

 とはいっても、一度入った店を出ることは出来ず、そこで飲むしかなかった。

 

 ということで私と俊はここで酒を飲みながら、社長のことを忘れ、上司の悪口を言ってしまうのだった。

 

 次の日。

 頭が痛く、重いというのに、私の上に芽依が乗り、彩香に降ろされるという行為が繰り返されていた。

 

 数日後、上司が変わることはなかったが、おとなしくなっていたのを、私と俊は苦笑いするしかなかった。

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