7.雲のバルコニー
私たちが築き上げ、たどり着いたのは、積乱雲の頂点、真っ白な雲の山の、頂上だった。
雲は太陽の光を浴び、きらきらと輝いていた。氷の結晶だけが
雲は時間とともに、その形を変えていった。
雲が魚のように見えるとき、それは、魚の魂が目を覚まし、
魚、イルカ、クジラ、
氷晶である私と光の魂は、風に乗ってのんびりと散歩した。光の魂は、わずかに、この世への思いを残していた。
「お父さんとお母さんは、今も悲しんでると思う。わたし、もっと長く生きてあげたかった……」
「君が生まれてきただけで、お父さんとお母さんはとても嬉しかったんだよ。君は
光は、不思議そうな顔をした。
「わたし、ただの女の子なのに……雲さんは、わたしをとても大切にしてくれた。どうして?」
「それは……」
私は、光の中にあって、彼女の喜びも苦しみも、ずっと見守ってきたから。いつしか私は、光の
イルカの魂が、私たちのそばに近寄ってきた。光と遊びたいようだ。光はたちまち笑顔になった。
「イルカさんの背中に乗りたい!」
イルカの魂は、口笛のような笑い声をあげ、
光の魂は、あらゆる苦しみや悲しみから解放され、安らぎを取り戻していった。
私たちは、イルカの背中から降りた。光はイルカにほおずりし、頭をなでた。
「イルカさん、ありがとう!」
イルカの魂は、軽やかな口笛を残して泳ぎ去った。仲間たちの群れに戻っていく。光の魂は、私の前でくるりと回り、いたずらっぽく
「ねえ、もっとお散歩しよ?」
私は、光を雲のバルコニーに案内した。
見下ろした地上の世界は、おもちゃの国のように小さくて
目の前に
見上げる空は、どこまでも
光は驚きのあまり、口もきけなかった。
私たちが光に、最後に見せてあげられる一番
突然、光の魂は、私に
「ありがとう、雲さん! わたし……あなたのこと、大好き!」
光の
私は
私は……。
夕陽が雲の峰を
「
「私も忘れないよ。光ちゃん、君に出会えてよかった。さようなら」
光の魂は、沈む夕日に溶け込むように、去って行った。光が行った先は、水分子である私にも
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