第19話 神社の秘密
「では、早速ですが、お話しましょう」
「よろしくお願いします」
「まずお気づきと思いますが、玄関の表札には、佐備田(さびた)とありましたね」
「はい、不思議に思っていました」
あれ?佐備田?きいたような・・・
「あの名前は、相撲部屋の表札みたいなもで、性は代々御子なんです」
「なら、佐備田というのは?
「お気づきと思いますが、寂田の変え字です。
「じぁあ、寂田神社は?」
「ええ、かつては、うちが管理していました」
「それがどうして・・・」
佐備田さんは、急に真面目な表情になった。
「小さいとは言え、大正のころまでは、栄えておりました」
「そうなんですか?」
「でも、隣町に大きな神社が出来ました」
「隼宮(しゅうみやじんじゃ)ですね」
「そうです。みんなそっちに行ってしまったんです」
「大きい方が、ご利益があると感じるのは、人間の性ですね」
「その通りです」
佐備田さんの、顔に悲しそうな物を見た。
「それで、誰も来なくなり、あのようになりました」
「手入れはしなかったんですか?」
「最初のうちはしていました。でも、誰も来ないので意味ないと・・・ただ・・・」
「ただ?」
「思い出のある場所だから、取り壊すなと先祖がから言われています」
「そうなんですか?」
その時、おれは欄間のところに、一枚の写真を見た。
見た事あるような、女性だ・・・
白黒なので、かなり昔だろう。
「あの女性の方は?」
「ああ、あの人は、私の祖母にあたる方です」
「お若いですね」
「ええ、20歳でなくなりましたんので・・・急な病で・・・」
「結核ですか?」
「その通りです」
結核は、昔は不治の病だった。
若くして、亡くなった方も少なくない。
「当時の言葉では、はいからな方でしてね。
どちらかというと、現代の娘さんの近かったそうです」
「お名前は?」
「美子といいます。祖母の思い出の場所だったんです」
その言葉で、俺は確信に近づいた気がした。
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