第15話 興味は高速列車へ
「実くん、今日はありがとね」
「何がですか?」
「付き合ってくれて」
笑ってる。
立ち直りの早い方だ。
引きずらないタイプだな。
ある意味で、羨ましい。
「ねえ実くん」
「何ですか?」
「小耳に挟んだんだけどね」
「はい」
「今、白い列車が走ってるんだって?しん・・何とか」
「新幹線ですか?」
「そう、それ」
どこから、情報を仕入れた。
「どこ走ってるの?」
詳しく話せば長くなるので、ポイントだけ教えておいた。
「そうなんだ。凄いね」
「ええ、日本の鉄道技術はすごいです」
「ところで・・・」
「はい。」
「その新幹線だと、ここ東京から、大坂まではどのくらいかかるの」
かかるというのは、時間だろう。
お金は、感覚が違うからな。
「一番早いので、2時間半です」
「に・・・2時間半?何も出来ないじゃない」
「ええ、便利にはなりましたが、旅情は無くなりましたね」
「なんだ・・・がっかり・・・」
よかった。
「新幹線に乗せろ」
そう言われなくて・・・
「実くん」
「はい」
「乗せて」
「何にです」
「新幹線」
ちょっと待て、乗りたいのか?
「さっき、乗りたくないって」
「やだ、乗りたい」
「霊だから、無理ですってば」
「やだ、乗りたい乗りたい乗りたい・・・∞・・・」
駄々をこね始めた。
待てよ?俺が言ったのは、のぞみだ。
美子さんは、のぞみとは思っていない。
仕方ない、あの新幹線にしようか・・・
「わかりました。新幹線に乗りましょう」
「ほんと?やったー」
もう笑ってる・・・精神年齢はいくつなんだ?
「但し、さっき話した新幹線ではないですよ」
「うん、それでもいい」
仕方ない、あれで間に合わせよう。
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