第13話 願い
「不思議な時代になったね、実くん」
「学校」
「えっ」
「だから、実くんの学校、時代も変わったね」
いえ、うちのが特殊ですから・・・
「実くん、少し付き合ってくれる」
「どこへですか?」
「おもしろいところ、見つけたの」
まさか、あそこか・・・
「ほら、ここ」
やはり、ここか・・・
「この神社、誰もいないんだよ、。うちと同じだね」
「美子さん、ここお寺ですから・・・廃寺ですから・・・」
「廃寺?アルプスの少女の?」
何で知ってる・・・まあ、やぼだ・・・
ていうか、パクリだろ?このネタ。
「私は知らないよ」
「ならどうして、アルプスの少女とでてくるんです?」
「細かいこと気にいてると立派になれないよ」
「そういうことでなくですね・・・」
話を進めよう。
「そのハイジではなく、廃寺、つまり住職のいない荒れ寺のこと」
「取り壊さないの?」
「お金がかかる」
「この時代も、大変なんだね」
まあ、いつの世も大変だ。
「こっちへ来てから、いろいろ見たけど、面白いね」
「確かに、美子さんからしたら、新鮮ですね」
「でも、少し寂しいな・・・」
「丘蒸気がないなんて・・・」
「丘蒸気?ああ、蒸気機関車ですね」
「うん、もう走ってないんだね」
美子さんのころは、蒸気機関車が当たり前だったんだな・・・
一体、何年生まれなんだ?この人・・・
「まだ、走ってますよ」
「本当に?」
「行ってみます」
「うん、どこ」
「じゃあ、今度の休みに・・・」
「やだ、今見たい」
美子さんは、俺の手首を掴んだ。
「美子さん、物は掴めないんじゃ」
「言ったでしょ!物は掴めないけど、者は掴めるの」
「だから、活字にしないと、わからないこと言わないで下さい」
こうして案内することになった。
SLの走る、あの地へ・・・
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