第11話 始業式
高校3年生の1学期の始業式。
今日から、高校最後の1年が始まる。
留年しなければ・・・
うちの高校は、1年生から3年生まで、クラス替えがない。
余程でない限り、担任も担当教科の先生も変わらない。
全く、変わり映えがしない。
そこで、気分を一新するために、旅にでたのだが、面倒なのがおまけでついてきた。
困ったもんだ。
(だれが、面倒なおまけだって?)
(美子さん、いきなり話しかけないで下さいよ)
(だって、退屈なんだもん)
(退屈って、今どこに?)
(窓の外)
窓の外を見る。
美子さんが、にこやかに手を振っていた。
周りには見えない。
でも、やばい。
(美子さん、大人しく家でまっていてください。
今日は、昼までに帰りますので)
(どのくらい?)
(2時間くらいです)
(わかった。待ってる)
(待たれても、気になって仕方ないです)
(やだ、ここにいる)
駄々っ子だ・・・
(なら、せめて屋上にいて下さい)
(屋上に?)
(ええ、誰も来ませんので)
(わかった。屋上にいるね)
(終わったら、こちらから連絡しますんで)
(了解)
どっと、疲れた。
「神矢、どうした?」
クラスメイトが声をかけてくる。
「いや、何でもない」
「疲れているようだけど、神矢くん、保健室いく?」
隣の女子が、心配そうい声をかけてきた。
「ありがとう。でも、今日はホームルームだけだから・・・」
「神矢くん、忘れてない?」
「何を?」
「うちの担任の事」
担任・・・?
そうだ、すっかり忘れてた。
「なあ、播磨さん、昨日、ムーンラビッツ、どうだった?」
先程の、女子に訊いてみた。
「知らなかったの?大勝よ、15-0」
やばい・・・
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