25話目 幼なじみと本当の気持ち

「ね、いいでしょ。俺らと遊びにいこーよ。」


あー...困ったな...


つり革を握りガタゴトと揺られるわたしはケータイに目を落とし聞こえていないフリをしていた。


どこにでもいるんだな...こういう物好き...


金髪と茶髪の見るからにチャラチャラしたお兄ちゃん達が無視するわたしに尚も話しかけてくる。


「ねー、日曜のこんな時間に1人でいんだし。暇なんでしょー?」


全く、勝手に決めつけないでほしい。


わたしが「はぁ...」とため息をついた瞬間


停車の勢いで電車が大きく揺れ、わたしはバランスを崩してしまう。


「あ...」


「おっと」


グラつくわたしに男達は手を伸ばしいとも簡単にその体を立て直す。


お礼を言おうと顔を上げかけた時


「ほら、やっぱりその気なんじゃん」


と言う言葉を向けられ開きかけた口を閉じる。


なんで今のでそういう捉え方が出来るかな...


わたしは挨拶もないままその人から体を離し距離を取るように後方へと後ずさった...


が、グイッと腕を捕まれ強引に開いたドアの方へと連れていかれてしまう。


「ここいいゲーセン知ってるんだ!ほら、行こう行こう!」


「え、ちょ、やめー」


わたしが断ろうと制止の声を入れた瞬間。


パシッという音がして彼等の手が振り払われる。


ハッと顔を上げるとそこにはよく見知った人の顔があった。


「僕の妹に、なんか用?」

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