22話目 幼なじみと無意識

「え、本当に今から行くの?」


ゴンドラを降りた途端小走りで駅へと急ぐわたしにりょうは驚いたような声を上げた。


「うん、行ってみる。無駄足になるかもだからりょうは帰ってくれて大丈夫だよ。今日はほんとにありがと。じゃあまた明日、学校で!」


「え、あ、ちょー」


わたしはそれだけ言うとりょうの静止も聞かずに走り出した。

次の電車は10分後、それに乗れば約1時間で平井とゆうのいる遊園地。

水族館から駅までは徒歩7分。走れば全然間に合うはず。


「あー...今どこにいるか連絡しようと思ったのに...ま、追いかけるのは野暮ってものか。」


りょうは独り言のように呟くとのんきにゆっくりと回っているさっきまで乗っていた観覧車を見上げる。


「二人きりの密室でもずっとあいつのこと考えるんだから...全く。少しくらい、意識してくれてもいいのにさ。」


りょうはそう、くすりと笑うと自身のスマホを取り出し彼に『お姫様が迎えに行ったぞ』とメールを送った。

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