16話目 幼なじみと休日デート?!
「今からでも遅くないし...あっちと合流しない?」
電車の中、ガタンゴトンと揺れる音の中りょうが重たい口を開いた。
「.......知らない。あんなやつ...」
「でもほら、みんなで回った方が、」
おどおどと説得してくるりょうをキッ睨みつけ「いいの。あっちはあっちで楽しんでるでしょ。」と会話を切るように言い捨てた。
横から重苦しい「はぁ〜」というため息が聞こえてくる。
そんなこと、わかってる。
でも今追いかけたら、なんだか負けたみたいで悔しいじゃないか。
✱✱✱✱✱✱
「ね、ねえ、平井くん。ぐるちゃん達と合流しよ?今日だってぐるちゃんのために打ち上げする予定だったんだし...」
「いいや、行かない。」
真田の言葉に俺は顔を顰め、移りゆく景色を眺めるよう車外へと目を移した。
「でも...今日のことだって提案したの平井くんなんだし...」
「あ?知らねえよ。あんなやつ。」
そっぽを向いて言い捨てる俺の横でくすくすと吹き出す声が聞こえた。
「.....なに?真田。」
「あ...ごめん。なんか、平井くんって誰にでも優しいイメージだったから...ぐるちゃん相手だと気を許すんだね。」
真田の言葉に自分でもボッと顔が赤くなるのが分かる。
「そ、そんなんじゃないよ。あんなん、ただの腐れ縁だし...妹とか、家族みたいなもんなんだよ。」
そうぶっきらぼうに言い放つと真田は「へ〜」と返しニヤニヤとこちらを見つめてきた。
なんなんだよ、全く。
俺にとってあいつは、妹みたいなもんなのに...
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